2022年に起きた農業に関する重要なこと。気候変動・食糧危機・生産緑地の2022年問題など

目次

農業に重要な気候。2022年の気候の特徴

農業は、最も天候に左右される職業といえるかもしれません。気候次第で農作物の成果が変わってしまい、それに伴い収入も変化します。2022年も終わりに近づいて来たので、今年の気候の特徴を振り返ってみましょう。

今年の6月末は、まだ梅雨時期のはずなのに連日猛暑日が続きました。7月後半~8月にかけては、各地で記録的な豪雨が起きたことを覚えている人も多いのではないでしょうか。8月後半~9月にかけては、台風11・12・14号が強い勢力のまま沖縄を通過しました。

このような異常気象の原因となるのは、地球温暖化による気候変動です。1992~2021年の猛暑日の平均年間日数は約2.5日でした。1910~1939年はこれが約0.8日だったのに比べると、猛暑日は約3.3倍に増加しています。また、日本の平均気温はこの100年で1.26℃上昇しているそうです。日本だけでなく、異常気象の増加傾向は世界各地で見られるでしょう。

気候変動から農業を守るには、新しい気候条件に対する適応が必要です。気候変動のリスクを把握し、先進的な設備へ投資したり、気候に合うよう作物の品種改良を進めたりすることが大切でしょう。

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2022年の夏は気候変動による異常気象が目立った

農業経営者にとっての大打撃と食糧危機

2022年はロシアとウクライナの紛争により、食糧危機に気づかされた年であったといえるでしょう。ロシアとウクライナは、世界において二大食品輸出国です。小麦、大麦、トウモロコシ、ひまわり油、種子、動物の飼料などで世界シェアの半分以上を独占しています。それが紛争により、流通網が寸断され、食糧価格は高騰しました。中東や北アフリカは両国の穀物に依存していたため、食糧不足に陥ったのです。極度の貧困状態にある人々の、価格高騰による壊滅的な影響が懸念されています。

日本もこの影響を免れることは出来ません。2022年は多くの食品の値上げが行われました。さらに今年は円安の影響により、輸入物価の上昇に拍車をかけています。農業経営者にとっては、燃料、電気、農機具から肥料や農薬などの価格上昇が大きな負担になってきているでしょう。特に、ロシアは肥料の輸出国第一位です。ロシアからの肥料供給が減少するということは、世界中の農家が影響を受ける可能性があるでしょう。今後更に、穀物の価格は高騰すると見られています。

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円安の影響もあり、日本では物価上昇が止まらない

日本の農業人口の減少、高齢化と担い手不足

農林水産省が発表した2022年の農業経営体数の調査結果によると、日本全国の農業経営体数は前年に比べ、5.4%減少しました。日本の農業従事者の平均年齢は約68歳で、基幹的農業従事者約122万人のうち、65歳以上は約86万人になります。

日本は農業人口の減少だけでなく、深刻な農業従事者の高齢化問題を抱えています。高齢化の原因は、後継者不足です。新規で農業を始めようと思うと、相当な初期費用が必要になります。農業をするために借金までする若い世代は珍しいでしょう。また、収入も初年度は平均230万円程度と、サラリーマンの年収より少ないのです。売上が少なければ、借金を返すこともできません。そのため、国として若い世代を育成し、金銭的負担を和らげる政策などが求められています。

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早急に後継者を育てる必要がある日本の農業

生産緑地の2022年問題

1992年に「生産緑地」の指定を受けた土地は、営農が義務化される代わりに、30年間の税制優遇がありました。2022年はその30年後にあたるため、指定が解除され、生産緑地だった土地が一気に市場に流出することになります。その際、土地の価格が暴落するなど様々な影響があると考えられていたのです。これを「生産緑地の2022年問題」といいます。

しかしながら「特定生産緑地」という新制度ができ、農業従事者が望めば、今後10年間継続して税制優遇を受けられることになりました。また、近年の生産緑地制度の変更で賃借が可能になり、直売所や農家レストランを建築できるようになったのです。都内では生産緑地の貸借がすでに200例以上あります。これまで都市農家が収益向上を目指すなら、農地拡大しかありませんでした。しかし色々な可能性を考えられるようになった現在、都市農業の新しい未来が広がってきているといえます。

農業の問題が浮き彫りになった2022年

2022年は農業にとって色々な動きのあった年でした。日本にとっては農業従事者の高齢化や迫りくる食糧危機など、様々な問題が浮き彫りにされたといえます。しかし、今後やるべきことも明確になったのではないでしょうか。政府主導でしっかりと対策を立て、日本の農業の存続を目指していけるといいでしょう。

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