1月11日は「塩の日」。あらためて考える農業と塩との付き合い方

目次

農業に大敵の「塩害」とは

塩害」という言葉を聞いた事がある人は少なくないと思います。「塩害」とは、字の通り「塩分」によって起きる害の事です。主に海水が原因である事が多く、地中の塩分濃度が高くなる事で、植物が水を吸い上げられなくなったり、土壌が荒く硬くなり、排水性が悪くなって作物が根腐れする事などが挙げられます。

海から離れた土地でも人為的な影響から塩害が発生する場合もあります。連作障害といった、同じ農地で同じ農作物を栽培し続ける事によって、肥料の化学反応から塩分濃度が高くなる例が挙げられます。

日本は海に囲まれた島国で、かつ定期的に台風が来る事もあり、塩害を受けやすい国です。その為、農地の冠水を防ぐ為の排水溝や、海水を洗い流すためのスプリンクラーなどを設置など、様々な工夫が行われています。

2011年に発生した東日本大震災の津波では、2万haもの農地がその被害に遭い、復旧作業は今でも続けられています。

塩害対策(除塩)はどうしたらいい?

では、実際に農地の塩分濃度が高くなってしまったらどうしたら良いのでしょうか?現在では大きく分けて2つの方法が採られています。

まずは、「リーチング」と呼ばれる水を大量に流して除塩する方法。灌漑水(かんがいすい/農作物を育てる為の水)を流して除塩します。日本は降水量が多いため、特に何もしなくても自然にリーチングとなる場合も多いです。先述したスプリンクラーなどはこのリーチングに当たりますね。

もう一つは石灰を混ぜる方法。石灰に含まれるカルシウムが土壌に結合する事で、塩化ナトリウムを除去するという方法です。土壌の水はけを良くし、そこに石灰を多く含む土壌改良資材を撒き、よく混ぜ、水を入れて排水します。

リーチングとの違いは、カルシウムが置き換わった事で追い出されたナトリウムが排出されやすくなる点です。

水を大量に流すだけでは効率が悪く、なかなか排出しきれないため、よくこの方法が取り入れられています。石灰の主成分はカルシウムなので、土壌汚染などを気にせず使用する事が出来るのも良い点です。

雑草対策に塩はNG!

草むしりはすごく面倒

面倒な草むしり、雑草が生えなくなる簡単な方法として「塩水を撒く」という事を聞いた事がある人もいるかもしれません。

結論から言うと、気軽な気持ちで塩・塩水を撒くのはNGです!

思う以上に塩害の影響は強く長く続きます。何年もガーデニング・家庭菜園ができないというだけでなく、住宅の基礎や、地下の水道管等のインフラ設備が錆びやすくなるなどの悪影響が発生する恐れがあります。

自分の家だけならまだともかく、隣の家まで被害が広がってしまう可能性も高く、場合によっては近隣から訴えられる何てことも起こりかねません。

どうしても手作業での草むしりが面倒という場合は、安全性の高い除草剤を使用するようにしましょう。グリホサート系の除草剤はかけた植物にだけ効くという特徴があり、土に落ちると分解されて無害になる為、安心して使用することができます。

大丈夫なの?!あえて塩をまく「塩まき農法」

塩が糖度の高い美味しいトマトを作る?!

ところが、その一方で農地に塩を撒く農法があります。安易に塩を撒いてしまえば、塩害につながってしまいますが、日本では江戸時代から海水や海藻を農業に使ってきました。

海水に含まれるミネラル類が養分となる事や、浸透圧が変わる事によって起きる環境ストレスから糖度が上がるなどの効果が認知されています。特に塩ストレスの耐性が強いトマト系の植物には有効で、海洋深層水を利用して作る高糖度トマト栽培が例として挙げられます。

とは言え、あくまでもこれは専門家の知識あってのこと。素人が気軽に真似をするのは避けた方が良いでしょう。本格的に農業を行うのであれば、そういった知識を身に着ける為の資格を取る事もオススメです。「日本農業検定」や「日本農業技術検定」などが挙げられます。少しでも興味を持ったら、ぜひ調べてみてください!奥深い様々な農法や知識を身に着けて、美味しい農作物を作るのはすごくやりがいがあると思いますよ。

生活に欠かせない塩と上手に付き合おう!

熱中症対策にはこまめな塩分摂取が必要ですが、採りすぎると成人病など、様々な病気の元となる塩分。農地も同じように、高すぎず、低すぎない塩分濃度が必要なようです。塩と上手に付き合って、美味しく、健康な毎日を過ごしましょう!

シェア
Share on facebook
Share on twitter