日本ではうるち米を水稲栽培するのが主流
私たちが普段食べている、食卓に欠かせないお米。白米、玄米、もち米・・・米にはいくつかのタイプが有ることは知っているという人は多いかと思いますが、これらの違いをご存じでしょうか?
普段食べているお米(玄米や白米)は、「うるち米」という種類のお米に分類されます。お餅やお赤飯、おこわなどに使われる「もち米」との違いは、でんぷんの性質の違いで決まります。まず見た目を比べてみると、うるち米は半透明で、もち米は白くて不透明です。またでんぷんの成分で比べると、うるち米は硬さを作るアミロース(15~35%)と粘りを作るアミロペクチン(65~85%)の2つの成分がありますが、もち米にはアミロースが含まれておらず、アミロペクチンのみです。
アミロペクチンが多いほどもちもちとした食感となり、粘りが出るのが特徴です。このため、もち米はうるち米よりも粘り気がある一方、うるち米はふっくらと炊き上がります。中には、最新技術を使ってアミロースの含有量を調整栽培された「低アミロース米」や「高アミロース米」などの品種も流通しています。うるち米が時間が時間が立つと固くなるのは、冷めると硬くなるアミロースの性質のためです。
1月から5月中旬:田んぼの準備と苗作り
食卓に欠かせないご飯は、どうやって作られているのでしょうか?一粒の種籾から、約500粒ものお米が収穫されます。あの小さな種籾がもつ、力強い生命力をおわかりいただけると思います。今回は農家の、お米の種まきから、実りと収穫の秋を迎えるまでの流れをご説明します。
【3月】種まきと苗づくり
種籾を2週間ほど冷たい水に浸けて、眠っている種籾を起こす「浸種」という作業から始まります。種籾から1ミリほどの芽がでてきたら、専用の箱に土を敷いて種籾を撒き、その上にまた薄く土をかぶせます。
【4月】育苗
土の入った箱の中で育てられた稲をビニールハウスへ移動させ、あたたかい部屋の中で更に大きく育てます。
【5月】田植えの準備
一方田んぼでは、苗を植える「田植え」の準備を始めます。冬を越して固くなった田んぼの土を耕して水を入れ、泥をかきまぜて柔らかくします。
5月下旬から9月:田植えと実り
【5〜6月】田植え
いよいよ、ハウスですくすくと育った苗を田んぼに植える時期となります。田植え機にセットされ、等間隔で田んぼに植えられます。しっかりと自立するまでは、田んぼの水を深くし、急な温度変化や病害虫から守ります。苗は成長すると、根元から分かれて茎の数を増やしていきます。これを分けつと呼び、1本の苗は、収穫時には4〜5本に増えています。
【7〜9月】稲の成熟と実り
種籾からはじまること半年をかけ、やっとお米の誕生に近づいてきます。育った稲の茎を割ってみると、中にお米が実る穂ができています。1本の茎に入っている穂は1本だけです。そして田植えから約2ヶ月半後、ついに小さく可憐な花が咲きます。お米の花が咲いているのはなんとたったの2時間ほど!受粉が終わるとあっという間に花は閉じてしまいます。受粉後のお米の花は、約1ヵ月半かけてお米になります。穂の先につく粒を「籾」と呼び、その中には栄養が蓄えられ、お米が成熟していきます。
10月:米の収穫・出荷
いよいよ10月は収穫の月。籾が十分に育つと、その中に入っているお米も大きくなり、その重みで穂が垂れ下がります。稲が黄金色に輝き始める頃が、収穫のサインです。コンバインで稲刈りをしたら、茎や葉を外して中にお米が入っている籾だけにする「脱穀」を行います。脱穀したら、おいしいお米に仕上げるために籾を乾燥させる段階です。収穫したばかりの籾は、約25%の水分を多く含んでいます。しかしこのまま保管すると腐ったりカビが発生する恐れがあるため、水分量が約15%になるまでゆっくり乾燥させます。乾燥させた籾から表面の殻を外すと、玄米ができます。この籾の殻をむくことを「籾摺り(もみすり)」といいます。
玄米は、石などの異物が混ざっていないかチェックされ、色や形が悪いお米を取り除いた玄米は、大きな袋に詰められて精米センターへ出荷されます。
寒い季節にはうるち米を混ぜたふっくらおこわを作ろう
お米離れが叫ばれて久しいですが、自然の恵であるお米はやはり日本人の日常には必要不可欠。この冬は、お米の良さを見直してご自宅で「おこわ」を作ってみてはどうでしょうか?もち米だけではなく、うるち米を加えてふっくらと仕上げたおこわがお薦めです。