近年増えている農業分野における外国人採用の状況とは

目次

最近の農業分野における外国人雇用の現状

近頃、コンビニやレストラン、ホテルなどで外国人労働者を見かける機会が劇的に増えていると感じている方は多いでしょう。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によれば、外国人労働者の数は2016年に初めて100万人を突破したそうです。

2019年10月時点での総数は165万8,804人となり、前年比で13.6%増加し、過去最多を更新しました。また全労働者に占める外国人労働者の構成比は、2008年には0.8%でしたが、2018年には2.2%となり、10年間で倍増しています。

そのうち農業・林業分野で働く外国人労働者はというと、2019年10月現在で、3万5,636人(構成比2.1%)です。農林水産省の『令和元年度 食料・農業・農村白書』によると、この数値は年々増加傾向にあり、5年間でおよそ1.8倍に増加しています。また、2019年に新設された新在留資格である「特定技能」においても、農業分野が認定されました。

農業で外国人を雇用する際のメリットと注意点とは

農業で外国人労働者を雇用する際のメリットと注意点は以下のようなものがあります。

  • メリット:
    • 労働力供給の確保: 高齢化や若者の都市集中などにより、農業労働力の不足が深刻化する中、労働力の補完が期待できます。
    • 技術や知識の導入: 外国人労働者の専門知識や技術を活かすことで、生産性や品質の向上が期待できます。
    • 国際交流と文化多様性の促進: 外国人労働者の受け入れにより、農業現場は異文化交流の場となり、地域社会の文化や多様性が豊かになる可能性もあります。
外国人労働者の受け入れにより地域社会の文化や多様性が豊かになる可能性も
  • 注意点:
    • 言語と文化の壁: コミュニケーションにおいて、言語や文化の違いが課題となることがあります。
    • 社会的な課題と人権保護: 外国人労働者には就労や生活における権利保護が求められ、適切な労働条件や労働環境、安全対策などを提供する責任があります。
    • 人材の一時的な流動性: 外国人労働者の多くは、一時的な契約や技能実習制度によって雇用されるため、継続的な人材確保には限界があります。
    • 地域社会の変化: 外国人労働者の大量受け入れにより、地域社会の構造や人口統計が変化し、地域内の社会的な緊張や葛藤が生じる場合があります。

「技能実習生」と「特定技能保持者」はどんな人?

日本における外国人労働者の中の「技能実習生」と「特定技能保持者」について説明します。

技能実習生(Technical Intern Training Program):

日本の技術や技能を学ぶために派遣される外国人労働者で、技術や知識の習得、国内での技術の普及や技能者の育成を目的として、日本の企業や農業組合にて一定期間の実習を行います。この制度では、過酷な労働条件や人権侵害の問題が指摘されてきました。近年は制度改革が進められ、適切な労働条件と人権保護の確保が求められるようになりました。

特定技能保持者(Specified Skilled Worker):

2019年に導入された新たな在留資格で、特定技能保持者は、最長で5年間の在留資格が与えられます。日本国内での需要の高い産業分野において、技能を持った外国人労働者を受け入れることを目的としており、農業分野もその対象となっています。雇用主側も一定の採用条件や労働環境の整備が求められ、技能を持った外国人労働者の長期的な雇用や定着が促進されることを期待されます。

新たな在留資格により技能を持った外国人労働者の長期的な雇用や定着の促進が期待される

外国人雇用で補助金や助成金を活用できる

日本政府や地方自治体は、外国人労働者の雇用促進や定着を図ることを目的とした、以下のような補助金や助成金を提供しています。

  • 外国人雇用支援助成金: 外国人労働者を雇用する際の研修費用や日本語教育の費用などを補助する制度です。企業や農業組合が雇用する外国人労働者の研修や教育に関連する経費の一部を補填してくれます。
  • 定着支援助成金: 外国人労働者の定着を促進するために、居住環境の整備や社会参加支援などの費用を補助する制度です。労働者が快適に生活し、地域社会との結びつきを深めるための支援が提供されます。
  • 技能実習生制度関連補助金: 技能実習生を受け入れる際に必要な設備や環境整備に関する補助金があります。技能実習生の研修プログラムの充実や労働環境の改善を支援することで、より良い実習環境を提供することができます。

農業分野での外国人雇用が担う役割とは

外国人労働者を雇用することは、日本の労働市場における多様性と国際的な連携の一翼を担う重要な要素となっています。補助金や助成金を活用しながら、適切な採用、教育、定着策を実施することで、外国人労働者との協力関係を構築し、相互の成長と発展を促進することができるのです。

 

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