農産物の価値を上げる6次産業化。農業ビジネスで海外進出も

目次

6次産業化とは?

6次産業化とは、1次~3次産業を融合することで、新しい産業を形成しようとする取り組みのことです。産業を一体化させることで可能性を広げ、生産物の価値を上げることが期待されています。東京大学名誉教授の今村奈良臣氏が名付け親です。事業者の所得の向上や、雇用機会創出につながるとして、国を挙げて推進されています。

1次・2次・3次産業という構造は、1940年代にイギリスの経済学者コーリン・クラークが提唱しました。各産業については以下の通りです。

<1次産業>
作物を作ったり、採取したりして、直接自然に働きかける産業のこと。農業、林業、漁業などが当てはまります。

<2次産業>
1次産業が自然から採取したものを、加工・生産する産業のこと。鉱工業、製造業、建設業などが当てはまります。

<3次産業>
流通や販売などのサービスを行う産業のこと。保険、金融、卸売り、小売、情報通信業、サービス業などが当てはまります。

6次産業の「6」という数字は、「1次2次3次産業」のかけ算が由来になっています。農林水産業者が、採取したものを自ら加工し販売まで手がけることで付加価値を生み出そうという狙いです。そうして1次産業従事者の経営が多角化展開することを、6次産業化といいます。

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農地で採れた作物をジュースに加工して販売するというアイデア

6次産業化のメリット

6次産業化の具体例を挙げてみましょう。6次産業化するということは、例えば自分の農地で生産した作物を加工し、オリジナルの商品開発を行うというようなことです。りんご農家が、りんごを使ったジュースやジャムなどを作るのがこれに当たります。そしてりんごや、ジャムなどの加工した商品を直接販売することも6次産業です。

その他にも、カフェなどの飲食店経営やイベントを開催することで、自分たちの農産物をアピールすることができます。農家は、6次産業化して農業ビジネスを拡大させることで、大きなメリットが得られるでしょう。

このような6次産業化で得られる最大のメリットは、所得の向上です。流通を通さないため、中間マージンを節約できます。また、自分たちの農産物や加工商品の価格設定をある程度自由にできることもポイントでしょう。2011年の日本政策金融公庫の調査によると、74.5%の回答者が所得の向上をメリットに挙げています。

同アンケートでは、農産物の生産拡大や企業経営の確率、社員のやりがい向上なども6次産業化のメリットとして挙げられています。

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直接販売は消費者の顔が見えることから、農家のモチベーションにつながる

6次産業化のデメリット

6次産業化にはデメリットもあります。今まで1次産業だけでやってきたところに、2次・3次産業の要素が加わるため、初期投資や費用がかさむでしょう。2次産業と3次産業の知識を学び、加工と流通を回していく必要もあります。売れなかった場合には、大量の在庫を抱える可能性もあるでしょう。

6次産業化にはビジネスモデルが必要です。例えば、トマト農家が「トマトジュースを作りたい」と思っても、同じことを考える農家はたくさんあります。どのように差別化し、販路を開拓するのか、よく考えなければいけません。市場調査をし、ビジョンを持って商品開発することが欠かせないのです。6次産業化にはプロデューサーやプランナーがいるので、相談してみるのもいいでしょう。

6次産業化が盛んな都道府県は?海外進出を目指すケースも

日本全国で、6次産業化が盛んな都道府県はどこでしょうか?農林水産省のデータによると、6次産業化に取り組む事業者の数が一番多い県は、長野県でした。4580の事業体が存在します。6次産業の従事者数は約2万8千人。長野県の人口が約205万人なので、人口の1%が6次産業化に取り組んでいるということになります。

全国で2番目は北海道で、3470事業体が存在しています。3番目は千葉県で、直売所の数は全国一です。県内のほとんどの道の駅に直売所が併設されていて、6次産業化に取り組みやすい環境が整っているといえます。

6次産業化を行っている事業者の中には、日本だけでなく海外進出を目指すケースもあります。例えば、青森県の「おいらせ黒にんにく」は数々の賞を受賞した人気商品です。国内だけでなく海外へ販路を拡大し、海外市場への輸出量は7年間で350倍に増えています。

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様々な作物をどのように加工し販売するか、農家の腕の見せどころ

6次産業化は日本の産業にとって活路となる

日本では、1次産業従事者の高齢化や後継者不足の問題が深刻になってきています。農業ビジネスの成功モデルが増えれば、若い世代の新規就農も増えるかもしれません。6次産業化は、日本の産業にとって活路となることは間違いないでしょう。

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