農業経営を続けるために考えたい「農業保険」とは

目次

農業保険とは

農業保険とは、農業生産者が天災や病害、盗難などのリスクに備えるために、保険料を支払い、保険金を受け取る制度です。農作物や家畜、施設などの被害が発生した場合に、その被害額に応じて一定の補償が行われます。日本国内で一般的に利用されている保険の一つであり、日本の農村地域での生産活動を支援するために、農林水産省や農協などが中心となって推進されています。

作物保険、家畜保険、施設保険、森林保険など、さまざまな種類があり、これらの保険によって自然災害などのリスクに備えることで、農業生産者の収入の安定化につながります。農業保険は、農業生産の安定化と、環境に配慮した生産活動を促進する役割を持っています。

農業保険の種類①収入保険

農業保険には、農作物災害に対する補償や事業の継続を支援する様々な保険があります。その中でも収入保険は、農業経営者の収入が減少した場合に、補償金を支払う保険です。

具体的には、農作物の出荷量や品質、市場価格の変動、天候などの要因によって、農業経営者の収入が減少した場合に、その差額分を補填する保険です。農業経営者は、保険契約時に収入目標を設定し、その目標に対して保険料を支払います。そして、契約期間中に収入が目標額に届かなかった場合に、保険会社から差額分が支払われます。

天災等による不作のときも収入が保証されるのが収入保険

この保険は、農業経営者の収入に直結するため、農作物災害などのリスクに対しても、安心して取り組むことができるようになります。また、災害発生時には、復旧や再建に必要な資金を手早く確保できるため、事業の継続性を確保することができます。

ただし、収入保険はその性質上、保険料が高くなりがちです。また、保険金の支払いは、契約期間終了後に行われるため、現金フローの管理が難しくなる場合もあります。そのため、収入保険を選ぶ場合は、リスクとリターンを十分に考慮した上で、慎重に検討する必要があります。

農業保険の種類②農業共済

農業共済は、日本の農業者が加入する共済制度の一種で、生産物の保険、生命保険、災害保険などが含まれる総合的な保険制度です。農業共済は、農家の生活を守るために、農産物の被害や病気、事故などに備えた保障を提供します。加入方法や保険料などについては、JAで詳細を確認すると良いでしょう。

農業共済は、全国農業協同組合連合会(JA全農)が運営する組織であるため、JAに所属する農家が加入することができます。農業共済の保険料は、生産物の保険や生命保険、災害保険などの種類や規模によって異なりますが、比較的安価な価格帯であることが特徴です。

農業共済には、以下のような保険があります。

  • 生産物保険:作物や果樹、畜産などの生産物が自然災害や疾病などで損害を受けた場合に、その損失分を補償する保険です。
  • 生命保険:農家の方の生命を守るための保険で、死亡や入院、怪我などの保障を提供します。
  • 災害保険:火災、地震、水害などの自然災害によって生じた被害を補償する保険です。
  • 個人年金保険:将来の老後の生活資金を確保するための保険で、加入者の希望に応じて保険料を支払い、将来的な年金を支給する保険です。
JA会員は農業共済に加入することができる

掛金が発生する農業保険。必要性を慎重に検討する上でのポイント

農業保険は、農家が直面する経済的なリスクを軽減するための保険です。しかし、その掛け金は高額であるため、加入には慎重な検討が必要です。

保険料は、保険期間中に発生する損害額やリスクの度合いによって決定されます。そのため、個々の農家にとって最適な保険内容や保険料を選ぶことが大切です。

また農業保険には、様々な種類があります。収入保険や農業共済など、異なる種類の保険を組み合わせることで、より効果的なリスク管理ができます。しかし、それにはより高額な保険料がかかることもあります。

また、農業保険には補償範囲にも十分注意を払う必要があります。一般的には、自然災害による被害や作物の不作による損失、家畜の疾病による死亡などが補償対象となっています。しかし、それ以外の損害事例に対しては補償されないことがあります。そのため、自分の農業経営に必要な補償範囲を確認し、補償漏れのないような保険をかける必要があります。

農業保険への加入時には専門家に相談を

農業保険は、農家の経済的な安定を保障するために欠かせないものですが、一方その性質上支払う保険料が高いというデメリットがあります。専門家に相談するなどして必要な保険内容を選び、不必要な保険には加入しないように慎重に検討しましょう。

 

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