農業大国アメリカにおけるグリホサートの利用方法

目次

アメリカでも利用されるグリホサートは、除草剤の有効成分

グリホサートは、ほとんどの種類の雑草を駆除できる「非選択性除草剤」の有効成分です。除草効果が非常に高く、農家での使用だけでなく、家庭でも使用されています。日本でもグリホサート系除草剤は、ホームセンターや薬局で気軽に買い求めることが可能です。

グリホサートは、世界の農業大国であるアメリカにおいて、大変重宝される成分です。アメリカは、時に厳しい気候条件のもとで、様々な農作物を栽培しています。その中でも小麦の生産は、大きな比重を占めており、グリホサートの活躍が著しい作物です。アメリカでのグリホサートを用いた小麦栽培は、「経済的で持続可能な農業」展開のお手本とも言えるでしょう。

また、グリホサートは世界150ヵ国以上で安全な農薬として、登録されています。日本を含む、世界各国の規制機関で検査が行われ、安全性が科学的に証明されています。

アメリカの小麦栽培で活躍するグリホサート

世界で最も優れた品質の小麦を生産するアメリカにとって、最高の品質かつ大量の小麦を生産し続けることは大きな課題です。この課題に取り組むうえで、「天候条件の変化」は最も大きな影響を与えていると言えるでしょう。

地球温暖化が進み、異常気象が見受けられる近年、環境や気候の変化を予測することが難しくなっています。その中で、安定した生産量と品質を確保するため、生産者はあらゆる手法を考えます。グリホサート系除草剤の利用はその手法の一つとしてアメリカで支持されています。小麦栽培の際、グリホサートは小麦の植え付け前に雑草を駆除する目的で使用されます。例えば、異常気象によって予想以上に雑草が増え、その雑草がウイルスとそれを媒介するダニを保有している場合、少しの雑草処理の遅れが命取りとなることは必至です。小麦畑にウイルスが定着してしまうと、感染した植物だけを処理しても病気の広がりを止めることは出来ません。グリホサート系除草剤は除草効果が高く、効き目も早いので環境や天候条件の変化による被害にすぐに対応できる除草剤として高く評価されています。

また、アメリカでは「プレハーベスト」と呼ばれる栽培方法でも、グリホサートが使われています。プレハーベストとは、収穫前の作物にグリホサート系除草剤を散布する栽培方法です。プレハーベストは、アメリカの小麦生産面積の3%以下で行われている稀な栽培方法です。小麦の粒が発達し、作物が成熟しきってから、収穫の7~14日前までに行われるため、小麦がグリホサートを吸収することはなく、畑の雑草だけを枯らすことができます。この方法により、安定した質の小麦栽培が可能となります。

グリホサートによって、安定した小麦生産が可能に

アメリカで増える「不耕起栽培」とグリホサートの関係とは

アメリカでは、1989年以降徐々に「不耕起栽培」の割合が増えています。不耕起栽培とは、文字通り「農地を耕さずに作物を栽培する」方法のことです。アメリカで不耕起栽培が増えている理由は、環境に対するメリットにあります。

【不耕起栽培の環境に対するメリット】

  • 土壌に二酸化炭素を貯蓄できる。

耕起栽培に比べて、土壌に貯留できる二酸化炭素の量が多い。

土壌に多くの二酸化炭素を貯留できると大気中に放出される二酸化炭素が減り、温室効果ガスの削減に貢献。

  • 耕運機による大量のガソリン消費による二酸化炭素排出を防ぐ。
  • 継続的な作物生産を可能にする。

土壌の生物学的肥沃度を向上させることで土壌の回復力を高め、継続的な作物生産が可能に。

不耕起栽培のデメリットは、耕さないため栽培のため雑草処理が難しいことです。そこで活躍するのが、グリホサート系除草剤。グリホサートは土に落ちた後は速やかに無害化され、作物に除草剤の影響を与えない安全で有効な成分です。アメリカの不耕起栽培面積の増加は、グリホサートの使用によって可能となったと言われています。

アメリカで増える、環境に優しい不耕起栽培

訴訟大国アメリカのグリホサート系除草剤を巡る裁判は的外れ

環境問題改善に貢献し、安全性も認められているグリホサートですが、アメリカではその安全性を巡る訴訟が起きることがあります。

グリホサート系除草剤の安全性を巡る訴訟が起こる理由は、アメリカならではの「訴訟ビジネス」にあります。米国環境保護庁(EPA)は、「グリホサート 発がん性はない」としたものの、国際がん研究機関 (IARC) がグリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と分類しました。IARCの科学的根拠なき分類が原因となり、訴訟大国アメリカの弁護士たちが「グリホサートの訴訟ビジネス」を展開し始めたのです。アメリカでは何においても裁判で白黒をはっきりさせることが最も公平な解決方法であるとする意識が浸透しています。不都合が起こると、まず訴えることから争いを開始します。

グリホサート 発がん性の因果関係が科学的に証明されていないにも関わらず、訴訟を起こせるものなら起こすという弁護士のやり方であると言えます。その結果、グリホサートは訴訟が起こるほど危険な成分であるという先入観を持つ人が出てきてしまいます。しかし、グリホサート 安全性についてよく知っている農家がいるおかげで、グリホサートを上手に利用した栽培が実現され、それが環境問題改善に繋がっているのです。

大国アメリカが担うグリホサート利用の促進

小麦等の重要かつ大量に必要な食物を環境に優しい形で栽培するために、グリホサートはかかせない成分です。既にたくさんの国々で利用されているグリホサートですが、世界に対し強い影響力を持つ農業大国アメリカがグリホサートの利用を促せば、世界はより一層安心してグリホサートを利用できるのではないでしょうか。

 

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