農業をレジャーに変えよう!「観光農業」を始めるにはどうしたらいい?

目次

農業経営体が次々と始める「観光農園」とは?

収穫体験や農家レストランなど、地元農産物を味わえる観光スポット「観光農園」を知っていますか。近年、作物を栽培・出荷する傍ら、観光客に農業をエンターテインメントとして提供する農園が増えているのです。

「観光農園」とは、観光客に農作業の一部を体験、もしくはほ場を鑑賞させて対価を得る農園を指します。観光農園は、1次産業が製造・加工業とサービス業を手掛けることで、地元農産物の価値を高める「第6次産業」としても注目されています。

農家が始めるメリットは複数あります。まずは、規格外や少し傷がついた農産物の収益化です。味・品質に劣りはないけれども市場に出せないものも、収穫体験の対象としたり、加工品の材料にしたりして、ロスを減少できるのはメリットです。また、農産物の加工品販売やレストラン・カフェの運営で、農閑期でも収益を得られるので、農業経営の安定や所得増加にも寄与します。

直売所やレストラン・カフェのある「複合型」の観光農園も多い

どんなのものがある? 観光農業のタイプ

観光農園には大きく分けて4タイプあります。観光農園はサービス業なので「どのような体験を提供するか」が重要です。農産物や農園の立地条件、観光客のニーズに合わせて、オリジナルの観光農園を考えましょう。

【収穫体験型】

イチゴ狩り、乳しぼりなど、収穫体験を目的とする。複数種類の農産物を取扱って、通年サービスを提供できるようにするほか、自然災害のリスクを軽減させる農園が多い。

例)平田観光農園中込農園など

【鑑賞提供型】

観賞用の花・観葉植物・盆栽などの観賞・見学を目的とする。季節ごとに満開となる花を複数種類植栽し、通年で運営する花園もある。

例)花ひろば世羅高原農場など

【栽培体験型】

農園の一角を利用して、種まきから収穫までの一連の栽培体験を提供する。栽培指導つきとうたう場合もある。数カ月間にわたり、個別、もしくはグループ別で、農産物の栽培方法や農業のノウハウを参加者に教える。

例)オーガニック・ハーベスト丸山いちご名人など

【複合型】

収穫・鑑賞体験のほか、加工品をつくる料理教室やおしゃれなレストラン・カフェ運営、直売所運営といった農業体験以外のサービスも併せて提供する。

より良い観光農園運営のために農地管理をしよう

観光農園は、レジャー目的で訪れる場所です。お客さまが快適に過ごすことができるよう、休憩所やトイレ、駐車場の設置のほか、農地管理に気を配りましょう。農地管理で重要なのが、雑草対策です。放置すると景観が悪くなるだけでなく、害虫・害獣を呼び込み、作物の生長に影響を及ぼします。

雑草対策の基本は、根を残さずに草を抜くことです。しかしひとつひとつ手で抜く作業は、手間がかかります。そこで除草剤を併用するのが効率的でしょう。農業で利用できる除草剤は、人の健康や環境への影響を、国が評価し、問題がないと判断した「農薬登録のある」もののみです。パッケージに印字された[農林⽔産省登録第○○○○○号]が目印です。記載された対象植物と使用方法をきちんと守れば、安全に使用できます。

グリホサート系除草剤も、農薬登録のある除草剤です。多数の草種に有効なので、散布の際は作物にかからないように注意しましょう。すでに生えている雑草を除去するなら「茎葉処理型の液体タイプ」が、土中で雑草の根っこから枯らしたいなら「土壌処理型の顆粒タイプ」がオススメです。

観光農園を成功させるカギは「お客さまが満足する体験の提供」

観光農園を成功させるカギは「お客さまが満足する体験の提供」

観光農業を成功させるポイント

農園経営の新たな活路を見出せそうな観光農園。しかしオープンしたからといってすぐに集客できるとは限りません。成功させるには、お客さま目線で以下のポイントをチェックしましょう。

【広報活動(集客)】

お客さまに観光農園を知ってもらうためには、広報活動が欠かせません。まずはホームページやSNS(Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、TikTokなど)を活用しましょう。旬の農作物や、お客さまの口コミを紹介するなど、定期的な情報発信が集客につながります。また、観光サイトやGoogleマップなど、観光客が検索で利用するサイトへ、農園の情報を掲載するのも手です。

【設備&サービス提供】

お客さまが「ここに行きたい!」と感じるような、安心できる設備とサービス提供は必須です。以下のような利便性を感じると、農園がより魅力的に感じられます。

・アクセスの良さ

・周辺の観光スポットとの距離感

・設備の充実性

・バリアフリー

・用具のレンタル

・安全性

・フォトジェニックな風景

・満足できる価格設定など

【オリジナルの体験提供】

数多ある観光農園の中で、差別化も重要です。観光農園は、モノよりもコト(体験)を販売するサービス業なので、「どうしたらお客さまが楽しめるか」を常に意識しましょう。収穫体験以外にも、料理(加工)体験やBBQなど、その農園ならではのオリジナルの農業体験ができると、口コミやリピーターにつながります。

魅力的な観光農園をオープンして地元農業を盛り上げよう

人々の思い出をつくる観光農園は、農業の枠にとらわれないエンターテインメントの提供がカギとなるでしょう。「コト」を通じて、地産物という「モノ」の魅力を伝えることができると、本業の農業にも利益を還元できるかもしれません。

 

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