農業に欠かせない農薬との付き合い方

目次

農業に欠かせない農薬の意義

農薬にはたくさんの法律が関係しています。大きく関わっているのが「農薬取締法」という法律で、その中に記載されている農薬の定義が、農薬を位置づける一番の基本とされています。そこでは、農作物の生産上問題になる病害虫や雑草などを防除するだけではなく、農作物の生理機能の増進や、抑制に用いられる薬剤も農薬と定義されています。農作物の成長促進や抑制という点については、ナシやメロンなどの果実をつきやすくしたり大きくしたり、また稲などの成長を抑えて倒れにくくするなどの例があります。このような有用性も農薬を考える時に重要な要素です。

また、同じく定義の中にある「生物農薬」というのは、生物を生きた状態で病害虫の防除に利用する天敵昆虫や微生物などをさしています。なお、農作物とは人が栽培している植物の総称であり、ゴルフ場や公園の芝生などもこれに該当し、多くの「ゴルフ場農薬」が使用されています。これらの定義から、農薬は、病害虫や雑草など、農作物の生産上での問題を解決するための資材であることが大前提だといえるでしょう。このように、農業に欠かせない農薬は多様な役割を持っているのです。

農薬の種類にはどんなものがあるのか

人が栽培・管理を行っている植物全般(農作物等)を、病害虫や雑草から守るために使われる薬剤などを「農薬」と呼びます。この「農作物等」には、穀物、野菜、果樹などの他、花、街路樹、公園、樹木、きのこ類なども含まれます。ニュースなどの情報から、農薬に対して漠然とした不安を抱く消費者も少なくありません。農薬=有害な化学物質という偏見を持つ人も少なくありませんが、実際に「農薬」に分類されるものの中には、虫も含まれています。

病害虫の天敵であり、農薬の一種として用いられているハチ

農薬は、その効用から殺虫剤、殺菌剤、除草剤、その他(殺鼠剤、誘引剤、忌避剤、植物生長調整剤、展着剤など)の4種類に大きく分けられます。代表的なものには次のようなものが挙げられます。

  • 病害虫の防除に用いるもの殺虫剤、殺菌剤、除草剤、誘引剤など
  • 成長の調整に用いるもの発根促進剤、着果促進剤、無種子化剤など
  • 病害虫の防除に用いる天敵寄生バチ、テントウムシ、昆虫ウイルスなど

正しく農薬を使うことで農業の安全を守る

農薬メーカーや農薬工業会は、製品の開発から廃棄に至る全ライフサイクルにわたり、環境・ヒトの健康・安全の確保に配慮し、農薬の安全な使用とリスク管理を啓発する活動を推し進めています。また近年は、IPM(総合的病害虫・雑草管理)といって、化学農薬だけに頼るのではなく天敵、防虫ネットなどさまざまな技術を組み合わせ、農作物の収量や品質に経済的な被害が出ない程度に病気や害虫の発生を抑制しようとする考え方が認められ、実施されつつあります。

農薬は適用内容どおりに使用すれば安全な生産資材であることは言うまでもありません。使用者自身の健康管理から農薬の使用後に至るまでのすべての注意事項を確実に実行することで、 農薬を使用する人への安全性が確保されます。農薬は定められた使用法をきちんと守ることで、安全性が担保されます。農薬の成分や使用法は容器や包装に貼付されたラベルにすべて記載されていて、特に注意を必要とする農薬には「注意喚起マーク」がついています。こうして、安全で安定した農業システムづくりに貢献しています。

定められた使用法を守る安全で安定な農業

日本の農薬メーカーは優秀

実は日本は、世界最大の農薬創出国といっても過言ではありません。2012年6月時点の調査で、日本で農薬登録された383剤のうち159剤、実に41.5%が日本の農薬メーカーが開発したと報告されています。海外で販売されている農薬においても、日本発の製品が多く登録されています、1996~2016年までの20年間で同社が欧州申請した新規農薬18品目のうち、日本企業が創出した品目で半数を占めるほどだそうです。日本の農薬メーカーは、世界の農業を支えているといっても大げさではないのです。

なぜ、日本の農薬メーカーは優秀なのでしょうか。農薬学会誌には、「多様な農業を営む農耕文化と化学技術力が高いレベルにあり、高質的な農業創意性が達成できている」とあります。その通り、歴史的に農薬創出力が強い傾向にあり、今も続いています。

農薬への正しい理解を身につけよう

残念ながら、現在、日本では農薬は正しく理解されていません。マスコミでは安易に無農薬を褒めたたえています。しかし、農薬なしに現代の農業は成り立ちません。農薬は現代の農業を支える重要な役割を果たしているのです。

 

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