脱サラ農業が増えている理由とは?自然に憧れる新規就農者に「青年就農給付金」という追い風

目次

脱サラ農業とは?なぜ今、脱サラ農業を始める人が増えているのか?

近年、脱サラ農業を始める人が増えています。脱サラ農業とは、会社員を辞めて農業を始めることです。特に30代~40代の若い世代が多いでしょう。もともと農家出身というわけではなく、新規で農業を始める人が多いです。農林水産省によると、令和元年度の新規就農者は5万5,870人でした。ではなぜ今、脱サラ農業を始める人が増えているのでしょうか?

日本の農業には、高齢化や後継者不足により、就農者が年々減少しているという課題があります。この課題を解決するため、行政や都道府県による新規就農者への支援体制が手厚くなっているのです。就農支援機関も充実し、新規就農者に対する給付金制度もあります。これらの理由により就農へのハードルが下がり、脱サラ農業を始めやすい環境ができてきたといえるでしょう。

また、働きがいを求める人が増加しているというのも、脱サラ農業が注目されている理由です。農業は、成功すればサラリーマン時代より少ない稼働時間でより高い収入を得ることもできます。もちろん必ず儲かるというわけではありません。しかし、がんばった分がそのまま収入になり、作物を食べてくれた人にも喜ばれる…そんなところにやりがいや楽しさを感じる人も多いでしょう。

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脱サラ農業する人は、30代~40代の若い世代に多い

脱サラ農業のメリットとデメリット

それでは、脱サラ農業にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、見ていきましょう。

<メリット>
・自然に囲まれた環境で仕事ができる
・自分のペースで仕事ができる
・自分で仕事と休みのバランスを決められる
・がんばれば高い収益を上げられる
・人間関係のストレスから解放される
・自分のアイデアを活かして仕事ができる

<デメリット>
・天候や作物の成長に合わせて作業しなくてはいけない
・台風などにより収入が激減する場合がある
・1年めの収入は少ない
・まとまった休みは少ない
・体力的に辛い可能性がある
・田舎はコミュニティが狭いので逃げ場がない可能性がある

脱サラ農業の最大の魅力は、自然に囲まれて仕事ができることではないでしょうか。田舎暮らしや土に触れることが好きな方にとっては、向いている職業です。農業は太陽の動きとともに稼働することになるので、生活リズムも整います。農作業で体を動かすので、健康にもいいでしょう。大変な面もありますが、もともと農作業が好きな方は長く続けられる仕事ではないでしょうか。

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農作業が好きな方は長く続けられる仕事

脱サラ農業を始めようと思ったら行うべきこと

「自分も脱サラ農業を始めたい」。そう思ったら、まずは情報収集です。全国新規就農センターのホームページでは、新規就農にまつわる基本的な情報を知ることができます。どのような流れで就農するのか、どのような支援があるのか調べてみましょう。

新規就農者がSNSなどで発信しているので、フォローしてみるのも良さそうです。新規就農したあと、どのような生活を送っているのか、よりリアルに知ることができます。実際に農家に見学や手伝いに行ってみるのもいいでしょう。体験してみることでわかることがあります。

脱サラ農業をするということは、会社員から経営者になるということです。就農して収益を上げるまでをきっちりイメージし、戦略的に進めていくのがいいでしょう。農業の世界で、ぶっつけ本番で販売できる農作物を育てるのは難しいです。まずは農業について研修を受け、栽培技術や経営ノウハウを学びましょう。

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まずは研修を受けて農業の基礎を学ぼう

農林水産省の脱サラ農業支援「青年就農給付金」

脱サラ農業を始める若者が増えた理由の1つが「青年就農給付金」という制度です。今までは、若者が脱サラをして農業を始めたいと思っても、資金面で諦めざるを得ないことも少なくありませんでした。青年就農給付金は、そのような若者向けの給付金制度です。農林水産省が若者の就農を喚起する目的で、2012年からスタートしました。

研修期間中だけでなく、就農直後の収入が少ない時期に支給を受けることができるのが青年就農給付金の特徴です。研修期間中は最長2年、就農後は最長5年にわたり、年間最大で150万円の給付金が支給されます。大きな資金源を確保しながら就農できるので、新規就農のハードルを下げることができるでしょう。

脱サラ農業は今までのスキルも活かせる

サラリーマンから農家になっても、会社員時代に培ったスキルは無駄にはなりません。農家にもプレゼン能力や、資料作成などのPCスキルが必要な時代です。衰退しつつある日本の農業を盛り返すためには、若者の就農が欠かせません。給付金制度などを使い、今後も若者の新規就農者が増えていくことを願います。

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