食生活の安心のために消費者が知るべき、グリホサートの安全性

目次

消費者の「農薬」に対するイメージ。農薬って本当に悪いものなの?

農薬という言葉に、どこか安全でないとか、良くないものというネガティブなイメージを感じている消費者は少なくないのではないでしょうか。今回は、農薬の必要性とメリットについて説明したいと思います。

野菜などを栽培する農耕地は、自然な環境のようで、実はそうではありません。なぜなら、通常は自然に生えてこない、限られた種類の植物が1箇所で集約的かつ大量に栽培されている「不自然」な状態だからです。つまり、自然に生えてくる植物とは全く種類も生態も違うものであるといえます。この農耕地の状態は病害虫にとって、格好の餌場となります。集まってくる病害虫をきちんと防除しないと、農作物の適切な量の収穫が難しくなります。

防除や除草には、農薬による科学的防除の他に、様々な方法がありますが、それらは大変非効率的です。農薬の普及により、機械や手作業による草刈りから開放され、農業における作業負荷が劇的に減りました。

消費者が知るべきグリホサートの安全性1)グリホサートの土壌や作物への残留について

グリホサート系除草剤は、薬剤を散布した箇所にある植物を根まで枯らしてしまう薬剤のため、その安全性が気になる人も多いでしょう。グリホサート系除草剤は土壌に影響を及ぼすのでしょうか?

グリホサート系除草剤は、土に落ちた分は土壌に吸着・分解されて効果を失います。薬剤は土壌内には浸透しないため、根から吸収される心配もありません。雑草の茎葉にかからずに土に落ちた成分は、処理後1時間以内のごく短時間で土の粒子に吸着し、微生物により最終的には水や炭酸ガスなどの天然生物に分解されます。また、グリシリンを主成分とするアミノ酸系除草剤は、毒劇物には該当しない普通物として扱われています。

農薬は食料の安定供給に不可欠なツール

パッケージに記載された方法で正しい容量、用法を守って使えば全く問題はありません。ちなみに農薬取締法において、農薬の残留期間については厳しく検査されており、記載内容が実際と異なることがないかを厳しくチェックしています。

消費者が知るべきグリホサートの安全性2)グリホサートは体内に蓄積される成分ではない

グリホサートは、世界中の規制機関によってその安全性が証明されています。しかし、いまだに一部の人たちがその毒性を声高に主張しています。ある米国の研究者によると、グリホサートを摂取すると体内でグリシンに置き換わり、様々な病気が引き起こされると主張しています。

結論から言うと、この主張は全く根拠のないものです。まず、グリホサートが体内でグリシンに置き換わり体内に取り込まれるという現象ですが、これは実験室内の人工的で特殊な条件下でのみ見られた現象です。自然界の生物の体内で、この置き換えが起きたという事例は今まで存在しません。

その情報、本当に正しいですか?

さらにこういった人たちは、しばしば根拠として「論文化されていない研究成果」を引用しています。科学的根拠を示すには一定の段階が踏まれるべきであり、論文化されていない未発表の研究成果は、他の研究者に正しいと認められていないものでしかありません。

消費者が知るべきグリホサートの安全性3)農業に利用されている農薬は農家を助ける大切な働きを担う。そして、農家も安全を守るために努力している。

農薬を使う最大の目的は農作物の安定供給であり、食糧自給率の向上にも貢献しているといえるでしょう。農業生産における病害虫や雑草の防除は重要事項であり、農作物の収量が減少したり品質が低下し、それにより大きな価格の変動が起きないように農薬があるのです。

最近よく耳にする「環境保全型農業」とは、化学的に合成された肥料や農薬の使用を減らし、環境負荷を軽減する農法のことです。合鴨や鯉などを使う農法や、有機栽培も、環境影響に配慮した農法です。農薬を使った栽培法もひとつの農法であり、これらのさまざまな技術の特長をいかし、 あるいは相互に補い合って、安全な農作物を生産することが求められています。

しかし、日本の農作物の総生産量において有機栽培の占める割合は、全体の0.2%以下に過ぎません。食糧の安定供給という観点から見ると、やはり有機栽培だけでは難しい状況だからです。農薬の特性を十分理解し、病害虫や雑草などの防除技術としていかに上手に農薬を活用していくかが重要です。

農薬を使わなければ有機栽培?まずは正しい理解を

オーガニックと有機栽培、無農薬をごちゃまぜで考えている方がいますが、有機栽培=無農薬ではありません。有機栽培では、使用が認められている農薬は使っています。もちろん有機栽培かつ無農薬で栽培している農家もいますが、有機JAS表示があっても農薬を使っている場合もあります。

 

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