林業は農業に並ぶ重要な産業。林業大国フィンランドに学ぶ「スマート林業」とは

目次

林業と農業の違いとは?

林業と農業は、自然の中で仕事を行うという点では似ています。しかし、それぞれの目的が「食」であるか「住」であるかという点では大きく違うでしょう。2つの仕事の、似ている部分と異なる部分について解説します。

林業は、木を伐採し木材を生産する仕事です。成果物としては、建築資材や土木資材、家具の材料などがあるでしょう。日本人の「住」を支える重要な役割があります。また、日本は国土の70%が森林であり、将来のために森林を育てるというのも林業の大事な仕事です。

農業は、土地を耕し植物を栽培する仕事です。日本人の主食である米を始め、野菜や果物など、日本人の「食」を支えています。

林業と農業はどちらも、季節や天候など自然の変化に大きな影響を受けるでしょう。自然の恩恵を受ける一方、災害による被害も受けやすいといえます。また、後継者不足に悩んでいるという点でも同じです。林業も農業も重労働が伴い、楽な仕事ではありません。そのため、若い世代の後継者が育たず、就労者の高齢化が進んでいます。

林業と農業の大きな違いとしては、農業は比較的都市部でも仕事ができるということです。畑さえ確保できれば、都市近隣で農業ができるでしょう。しかし林業は山林で仕事をするため、都市部から遠く離れた土地が仕事の現場になります。また、農業は生産サイクルが短いですが、林業は長い年月をかけて結果を出すものといえるでしょう。

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フィンランドでは森林作業の100%が機械化されている

フィンランドの林業とは

国土面積における森林の割合(森林率)が先進国1位なのが、フィンランドです。フィンランドの森林率は74%で、森林資源が豊富な国として知られています。人口は550万人で、北海道と同程度です。一人あたりの森林面積が欧州平均の16倍あり、森は身近な自然として親しまれてきました。

フィンランドにとって林業は、鉱工業に次ぐ一大産業です。輸出額全体の20%が林産物であり、フィンランドの経済にとって重要な役割を果たしています。また、森林のうち約5割は個人所有です。森林を即座に換金できる仕組みと需要が整っており、フィンランドにおいて森林を保有することは資産価値が高いでしょう。

フィンランドでは20年以上前から、森林資源を持続可能な形で組み込む「バイオエコノミー」への転換が進められてきました。1980年代から森林作業の機械化が普及し、今では森林作業の100%が機械化されています。さらに森林のデジタル化も進み、所有権や伐採時期などのデータが一元化され、誰でも閲覧できるようになっています。

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世界中から注目を集めるフィンランドのスマート林業

フィンランドはスマート林業の先進国

一般的な林業では、手動のため非効率的な作業が多く、品質にバラつきがあります。また、違法伐採による森林破壊もあるでしょう。しかしフィンランドでは、森林資源のデータベース化とICTを活用した生産体制が確立されています。効率よく森林管理ができることで、良質な木材を計画的に量産することが可能です。森林資源をデジタル化することで、持続可能性の高い林業を実現しているでしょう。フィンランドはこのような「スマート林業」の先進国であり、世界中から注目を集めています。

フィンランドは、化石資源に依存をしない、持続型社会システムであるバイオエコノミーへの移行を進めてきました。現在では、木材由来のバイオマテリアルを活用した様々な製品やパッケージが生まれています。木造建築技術や建材の開発、木材由来の高付加価値化学製品など、バイオベースのエネルギーの実現が進められているでしょう。

フィンランドの林業が作り出す歴史ある木製品

フィンランドの林業は、主に機械(木材)と化学(紙、パルプ)林業で構成されています。世界的に有名な、フィンランドの林業が作り出す生産物といえば「北欧デザイン」でしょう。北欧家具は木製で温かみを感じるものが多く、長く使えるので人気があります。経年劣化と共に美しくなる木の素材を愛する文化がよく現れているでしょう。

北欧で古くから、大切な人への贈り物として人気があるのが「ククサ」です。ククサは歴史のある伝統工芸技術で作られた木製のマグカップで「幸せが訪れる」という言い伝えがあります。希少な白樺のこぶで作られており、独特のフォルムが愛らしいでしょう。

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「幸せが訪れる」というフィンランドの伝統的な木製品ククサ

スマート林業によるフィンランドの国力アップ

林業大国フィンランドから生まれる木製品はどれも美しく、そのデザインは世界中で人気があります。森林と共に生きる文化を持つフィンランド。スマート林業により木材などの安定供給ができることは、大きな国力アップに繋がるでしょう。

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