日本が行う海外への農業支援。発展途上国への支援で世界の平和と安定に貢献

目次

発展途上国への農業支援で飢餓をゼロに

現在世界では、紛争、貧困、気候変動など様々な要因による飢餓が大きな問題となっています。特に、農業を生活の基盤とする割合の高い発展途上国が問題です。発展途上国は気候変動などの影響を受けやすいため、食糧不足に陥り飢餓が深刻化しています。この飢餓問題に対し、世界各国が問題解決のために動いており、日本でも途上国への農業支援を積極的に行っています。

2015年には、SDGsにおいて「飢餓をゼロに」という目標が掲げられました。2030年までに飢餓と栄養不良を終わらせ、子どもや社会的弱者に食料を行き渡らせることを目指しています。そのために必要なものは、食料の安定的な供給です。対策の一つとして「持続可能な農業」「強靭な農業」の実現が挙げられています。国際協力によるインフラや技術の向上、農業生産性の改善などの農業改革が求められているでしょう。

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世界各国が飢餓問題解決のため動いている

ODA総額、日本は世界4位

発展途上国の支援のため、政府・国際機関・NGO・民間企業などが経済協力を行っています。そのうち、政府が発展途上国に行う資金や技術の協力のことをODA(政府開発援助)といいます。ODA総額の多い国は1位がアメリカ、2位がドイツ、3位が英国で、日本は4位です。日本は1954年から海外への支援を始めました。これまで日本が支援した国や地域の数は190に上ります。

発展途上国とは、経済成長の途上にある国のことを指します。世界196ヶ国のうち、約150ヶ国が発展途上国です。発展途上国では、世界人口74億人のうち8割以上の人が暮らしています。1日1.9ドル(約206円)未満で暮らす人は7億人以上、学校に通えない子どもは約5800万人です。

ODAなどを通して発展途上国を積極的に支援することで、国際社会における日本の信頼は培われてきました。日本は多くの食料や資源を輸入に頼っています。途上国の発展を手助けすることは世界の平和と安定に繋がり、結果的に日本の国益にもなるのです。

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日本はODA総額1位だったこともある

JICAが取り組む農業支援

JICA(独立行政法人国際協力機構)は、日本のODAを一元的に行う実施機関です。技術協力から有償・無償協力まで、発展途上国への国際協力を行っています。今回は、その中で行われている農業開発/農村開発についてご紹介します。支援先はアジア、アジア、アフリカ、中東、中米など、幅広いでしょう。

JICAはグローバル・アジェンダで「みんなが豊かになる農業を実現し、貧困と飢餓をなくす」ということを掲げています。その背景には、貧困・飢餓人口の約80%が農村部で生活し、貧困層の63%(5億人)が農業に従事しているということがあります。農業で生計を立てられるように、ビジネスとしての農業を推進することが重要なのです。

具体的には、小規模農家の農業所得向上を目指しています。そのためには「作ってから売る」のではなく「売るために作る」という営農マインドの変革が必要です。2030年までに、100万世帯の小規模農家の生計を向上させるという目標を持っています。また、アフリカ地域の米生産量を倍増させるため、気候変動に対応した灌漑開発と米の品種開発を行っています。

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発展途上国の農業改革が進められている

日本財団が取り組むアフリカ、中南米の農業支援

日本財団は国際協力事業などを行う、大規模な社会貢献団体です。日本財団は、1986年からアフリカや中南米の農業支援に取り組んでいます。農家への技術研修、中堅農業普及員の再教育、脱穀など加工サービスを提供する若手起業家の育成など…。これまでに各国の農業省や研究機関と連携しながら様々な支援に取り組んできました。

農村部の農家の畑をデモンストレーション圃場として実践的な研究を行うモデルは、特にエチオピアで高く評価されました。1995年には当時の大統領の意向により、政府の農業普及システムとして採用されたのです。エチオピアではトウモロコシの平均収穫量が3倍以上となりました。

気候変動など地球規模の課題が深刻化する中、日本財団は発展途上国での持続可能な食料システムの構築を目標としています。

海外への農業支援は日本の恩返し

日本は積極的な海外への支援により、国際社会で存在感を示しています。かつて戦争に負けて生活が苦しかった時代には、日本は援助を受ける側でした。当時アメリカやユニセフ(国連児童基金)の支援を受け、立ち直ることができたのです。戦後、豊かな先進国の仲間入りを果たした日本は、海外への援助で恩返しをしていると言うことができるでしょう。

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