円安の農業への影響

目次

現在起こっている円安とは

2022年は今までにない円安の傾向が加速しています。「有事の円」といわれたのも、今は昔。対米ドルに対しての円安のみならず、ユーロ、中国元、カナダドルまで、幅広く円が売られています。今回の円安は今までと違うといわれますが、具体的にどこが違うのでしょうか?

  • 部材不足

円安の追い風を受け、日本の製造業は大量の受注があります。しかし、製品を作る部材(半導体・アルミ・銅・樹脂)が不足している為、製品が作れない状況が続いてます。

  • 原料高騰化

日本の製造業が必要とする、原油・鉄・アルミ・銅・石炭、製品の原料となるものは全て輸入に頼っています。原料の高騰化に、部材不足・円安が加わって、原料の争奪戦が勃発。原料代は高騰の一途をたどっています。

  • 電気代が高騰

原油や石炭の高騰化が、電気代の高騰化を招いています。昨年から20%近く電気代が上がり、経常利益を圧迫しています。石油や石炭は今後も見通しがついていない為、電気料金は引き続き予断を許さない状況にあります。

円安に脅かされる日本の食糧安保確保

ロシアのウクライナ侵攻で加速した小麦価格の高騰。製品の相次ぐ値上げが起こり、今やパン・麺類を主食とする日本の消費者を直撃しています。また自給率が圧倒的に低く、ぜい弱な日本の食料安全保障の実態を浮き彫りにしました。輸入コストの上昇につながる円安進行や、台湾情勢の緊張も重なり、専門家の間では危機感が高まっています。

世界情勢による製品の値上げと輸入コストの上昇

日本人の3大主食であるコメとパン、麺類のうち、関連家計支出の約7割を占めるのがパンと麺類。その原料の小麦は約9割が輸入に頼っており、国産の食料増産が急務です。日本の小麦輸入先は米国、カナダ、オーストラリアの3カ国がほぼ独占しており、ウクライナからの輸入はないが、輸入小麦の価格は国際市況や為替、世界的な在庫不足により日本も影響を受けてしまっています。岸田首相は、2022年8月の「物価・賃金・生活総合対策本部」の会合で、このままだと国際価格の高騰を受けて2割程度上昇するとして、輸入小麦の売り渡し価格を据え置くよう指示しました。

円安で苦しむ農家を救うための政府の補助

農業関連でも資材が値上がりしています。中でも肥料価格の高騰が目立ち、全国農業協同組合連合会(JA全農)が6〜10月に地方組織に売る肥料が、最大94%値上げされる事態となっています。

JA全農によれば、国際市況の肥料高騰に円安が重なったことが要因であるといいます。ここ数年、世界の人口増に伴う食糧増産で値上がり傾向にあり、また昨秋からの中国の輸出制限や、ウクライナ侵攻の経済制裁でロシアなどからの供給停滞で急騰しました。肥料の多くを輸入する日本には大打撃です。また農業器具に必要な燃料も、ここ数年で2.5倍に値上がりしています。農家の努力だけでは吸収できない大幅な経費の増加に、政府は6月末、値上がり分の7割を補助する方向で動きだしました。地方自治体によっては、増加した負担の一部を補助する制作を既に打ち出し、農家への補助に動き出しているところもあります。

円安と肥料高騰で農家は困っています

円安の今後の見通し

米国では長短金利差の乖離が大きくなってきており、量的緩和策の縮小も意識され始めています。また、アメリカでは物価上昇に対する懸念が広がっており、当面米経済に対する不信感は続くと考えられています。現に、インフレは米経済減速になると懸念され、米国株は2022年に入ってから下落中です。日本は貿易赤字が加速している事を考えると、当面は現在の緩和的政策が続けられそうです。

2022年7月に発表された野村證券による、米ドル円の今後の見通しは「ドル円はピークアウトの機運が高まっている」でした。年末に向けて130円を割るシナリオもあり得るとしています。ドルのピークアウトが近いという見通しです。続いて、三菱UFJ銀行による短期的な見通しは、調整相場に入っているものの、まだドル高水準に関する懸念は拭い切れていないとしています。そのほかの経済学者や有識者の見通しとしては、レンジ(一定の値幅での動き)もしくは円安が落ち着くといった見方が多くなっています。現在の円安ドル高要因としては、米国での景気回復や財政出動によるインフレ・金利上昇、量的緩和の縮小が挙げられています。

日本の農業は岐路にある

円安とは、読んで文字の通り、円が安くなるという事。外貨を持っている人は日本で製造されたものが安く手に入りますし、輸出入を行う企業にとっては、為替差損なども発生し大きな利益変動があります。日本の農業も、多くの資材を輸入に頼る体制を考え直す岐路に立っていると言えるのではないでしょうか。

 

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