農業用ドローンとは
空撮ができるドローンは、撮影が好きな人々の間で人気があるでしょう。しかし最近ではおもちゃのドローンだけでなく、農業用ドローンが活躍しています。農業用ドローンというのは、農業分野で使われるドローンの総称です。主に農薬を散布するために使われます。
農業用ドローンの活用は世界中で広まっているでしょう。急速に拡大する世界市場に伴い、日本でも農業用ドローンの導入が進められています。日本の農地で農業用ドローンが飛び回るのが当たり前になる日も近いかもしれません。
農業用ドローンには、農薬散布以外にも複数の用途があります。農薬散布に使われるドローンのタンクを肥料専用のものに付け替えれば、肥料を散布することができるでしょう。また、カメラを搭載したドローンなら、空撮により作物を確認できます。空撮した映像を分析し、生育状況の確認や害虫・病気の発見が可能です。最後に、まだ試験段階ですが農業用ドローンでの播種も行われています。実用段階まで来れば、育苗・定植の必要がなくなり、大幅な手間の省略化が期待できるでしょう。
農業用ドローンのメリットとデメリット
農業従事者の不足や高齢化に伴い、農業分野では機械化が進んでいます。より効率的に農業を行うために、農業用ドローンには大きな期待が寄せられています。では、農業用ドローンのメリットとデメリットを比べてみましょう。
<メリット>
①重量が軽くて小さい
従来までは、80kgを超える産業用ヘリを使って農薬散布をしていました。それに比べると農業用ドローンは機体重量9kg以下と軽量で小さく、操作しやすいでしょう。
②好きな時に散布できる
ドローンがあれば天候を見ながら好きなタイミングで散布できるので便利です。
③作業の効率化
散布にかかる時間は、人力散布の5分の1。農薬・肥料の散布作業の効率化ができます。また、ムラなく散布できるため、塗布回数を減らすことも可能でしょう。
<デメリット>
①コストがかかる
初期費用としての購入費用の他に、維持・修理費や保険代なども必要になります。
②利用するためには許可申請が必要
ドローンによる農薬散布は、国土交通大臣への許可・承認の申請が必要です。
農業用ドローンの世界的な普及
農業大国であるアメリカでは、すでにドローンは農家にとってなくてはならないものになっています。アメリカの農地は広大なため、ドローンで管理するのが理にかなっているのです。ドローンによって、適切な範囲に適切な量の農薬を散布できます。エリアと量を指定しておけば、あとはドローンが自動運転で散布してくれるのです。また、空から農作物の生育状況や土壌の状態など、様々なデータを収集し分析することができるでしょう。
世界の農業用ドローン市場は、2021年から2027年の間に35.9%以上の健全な成長率で推移すると予想されています。市場は2027年までに102億7,000万米ドルに達する見込みです。農業用ドローンの研究開発のための投資の増加と、精密農業の導入の増加が主な要因でしょう。
農業用ドローンにかかるコスト
農業用ドローンを導入しようとしている人の中には、コストが気になるという人も多いでしょう。実際にかかる購入費用や維持費がどのくらいなのか、具体的なコストをご紹介します。
まず、農薬散布用ドローンの機体購入費用は、100~300万円が一般的です。メーカーによっては100万円を切るものもありますが、安全性や最新技術の恩恵を受けるには、100万円以上の機体が良いでしょう。リースすることも出来ますが、リース代は割高になってしまいます。本格的に使用するのであれば、本体を購入してしまった方が良いでしょう。
ドローンは買ったら終わりではなく、維持費や修理費がかかります。機体は1年に1度の定期点検が必要です。定期点検費用の相場は10万円程度になります。故障して修理を依頼するのであれば、修理代+部品代+メンテナンス費用がかかるでしょう。
農業用ドローンで一番のリスクは、機体を墜落させる可能性があることかもしれません。重さがあるので、墜落先に人がいたら大変なことになるでしょう。そのため任意保険への加入が必要になります。保険料は1万6千円~程度ですが、補償支払限度額によって種類や値段は変わるでしょう。
技術と知識をつけてドローンを使いこなそう
農業用ドローンがあれば、農作業の大幅な効率化が図れるでしょう。問題点といえば、費用とドローンを使いこなす能力が必要になってくるということです。講習会などに参加して操作技術を磨き、ドローンに関する法律の知識もつける必要があるでしょう。