世界ミツバチの日とは?
5月20日は「世界ミツバチの日」です。国連が制定した「国際デー」の1つで、2017年に制定されました。養蜂が盛んなスロベニア政府の提案により生まれたものです。スロベニアにおいて近代養蜂の先駆者であるアントン・ヤンシャの誕生日に由来しています。
世界ミツバチの日は「花粉を媒介するミツバチなどの生物の重要性を認識する日」です。人間は花粉を媒介する生物のおかげで食糧を得ていると言っても過言ではありません。そのためミツバチや養蜂を保護するというのは、生態系を維持することでもあります。持続可能な農業にも大切な役割を果たしているため、今後SDGsの広まりとともに認知度も上がるでしょう。
日本では語呂合わせにより、3月8日が「みつばちの日」とされています。1985年に、全日本はちみつ協同組合と日本養蜂協会により決められました。同時に決められた日に、8月3日の「はちみつの日」があります。
ミツバチの大切な役割
ミツバチは、庭先などでもよく見かけることがあるでしょう。「人を刺す」と怖がられるミツバチですが、刺されることは滅多にありません。実はミツバチはおとなしく、こちらから刺激を与えない限り攻撃してくることはないのです。
ミツバチは、私たち人間に様々な恩恵をもたらしているでしょう。蜂蜜は世界中で愛され、食べられています。蜜ろうは、石けんやリップクリームに使われることで有名です。しかし、ミツバチの一番の大切な役割といえば、受粉の媒介ではないでしょうか。
ミツバチは花の蜜を求めてあちこち飛び回ります。そのため、多くの植物の受粉を媒介しているのです。ミツバチが媒介する花粉の中には農作物なども含まれています。そのため、もしミツバチが全滅すると世界的な食糧危機が起こると言われているのです。人間だけでなく、生態系全体に影響を及ぼすかもしれません。
世界中でミツバチは減少中。ミツバチのいない世界とは
世界のほとんどの農作物が、ミツバチの媒介によって受粉していると言われています。ミツバチには花粉媒介者としての大切な役割があり、生態系にとって必要不可欠の存在です。
そんなミツバチですが、実は世界中で減少しています。野生のハチも、飼育されているミツバチも、過去数十年に渡って減り続けているのです。例えば現在、アメリカのミツバチのコロニーは、1940年代の半分もありません。アメリカの養蜂家が管理するコロニーは、2010年から毎年37.8%ずつ消滅しています。世界中のハチの数は減り続けていて、今では絶滅の危機にあるのです。
ではミツバチがいなくなってしまったら、果たして世界はどうなってしまうのでしょうか?ミツバチがいなくなるということは、受粉を担う存在がいなくなるということです。まず、世界の農地の35%で収穫量は低下し、主要農作物が大きな影響を受けるでしょう。そしてあらゆる植物も同時に消滅していく可能性が高まります。
ミツバチが絶滅した場合、受粉にミツバチの媒介が必要だった食物は食べられなくなるかもしれません。あるいは、非常に高価になります。主に野菜・果物・ナッツなどです。また、牛や羊が食べている作物も消滅してしまう可能性があります。そうすると飼育が難しくなり、乳製品がより高価になるかもしれません。あるいは綿が取れなくなり、コットンの服が消える可能性もあります。
要するに、ミツバチがいなくなってしまうと、私たちは極度の食糧不足に陥る可能性が高いのです。近年は気候変動と並ぶ地球規模の危機として、このような生物多様性の喪失が挙げられています。
世界ミツバチの日に考えたい、ミツバチ保護への取り組み
日本で行われている、大学や企業のミツバチ保護の取り組みをご紹介します。
銀座では2006年から、ビル屋上でミツバチを飼い始めました。「銀座ミツバチプロジェクト」です。養蜂場の見学会や採蜜体験を通して、子ども達にミツバチ保護の大切さを伝えています。
千葉商科大はキャンパス内で養蜂事業を行っています。地元のお店と協力した蜂蜜を使った商品開発などで、地元の活性化を目指しているそうです。
愛知学院大学も養蜂事業を通じて、SDGsを積極的に推進しています。キャンパス周辺の緑化や生態系の維持にも貢献できるでしょう。
ミツバチの減少にグリホサートは関係しない
ミツバチの減少に話が及ぶと、農薬の影響と主張する人がいます。しかし、蜂蜜にグリホサートの残留はありませんでした。ニュージーランド食品安全局が行った、グリホサート残留に対する調査結果で詳細が記載されています。またハチミツのグリホサート基準値が改正されていることも考慮に入れるべきでしょう。このことから、ミツバチの減少にグリホサートが大きな責を負っているとは言い切れないことがわかります。