一年の農業の仕事がひと段落を迎える農家の冬、農閑期の有効活用方法

目次

 

農業がひと段落する時期はいつ?

農繁期の対義語で、農作業の暇な時期のことを指す言葉に「農閑期」があります。日本の水田単作地帯では、米の収穫を終えた後の冬季が農閑期にあたります。一部の農家では、副業収入を求めて冬の間の数ヶ月間出稼ぎに行くこともあります。酒造りの盛んな地域へと出向き杜氏として働いたり、都会で建築作業員やタクシー運転手として働いたりと、出稼ぎの内容も様々です。

特に高度成長期には、東京オリンピックのためのインフラ整備に多くの労働力が必要とされ、出稼ぎ労働者が数多く東京へ流入しました。農作業の機械化や、農業収入だけでは生活できない兼業農家がますます増加したことにより、現代の出稼ぎは長期化傾向にあります。最近は、家族同士で農業従事者と出稼ぎ労働者に分かれ、一年中出稼ぎ先で働く人も多いようです。歴史的には、様々な地方で農閑期を利用した地場産業が生まれています。北陸地方で発達した織物業はその一例です。

冬の間に農業の勉強をして来シーズン、更にパワーアップした農業を

農家にとっての冬は研修や勉強会に参加し、栽培技術や経営について学んだり、農業に役立つ資格を取得したりする時期でもあります。まずは農業においてほとんどの場合必要とされる、作物や農業資材の運搬・移動作業のための、小型特殊自動車免許やけん引免許といった資格。農業関連企業等へ就職を希望する場合に有利となる、日本農業技術検定や日本農業検定、農業簿記検定などもあります。中でも最近注目を浴びているのが、農業テクノロジー、食に関わる次の4つの資格です。

冬の間に取る資格の一つは農薬散布ドローンの使用
  • 産業用マルチローターオペレーター技能認定証

農薬散布でドローンを使用する際に必要な資格。「産業用マルチローター」とは、農業用ドローンの正式名称です。農林水産航空協会の指定教習施設で3日ほどの教習を受講する必要があり、費用は15万〜20万ほど。

  • 野菜コーディネーター

野菜本来の味や栄養価を最大限に引き出し、家庭でもおいしく食べられるようにサポートする民間資格。

  • 野菜ソムリエ

野菜や果物の保存方法や栄養価について、正しい調理方法を理解し、それを伝えるための民間資格。

  • 食育インストラクター

食育の指導者となるための民間資格。

来シーズンの準備を万全に行う(土づくり、機械のメンテナンス等)

農家の冬の時期は、農作業はもちろん少なくなりますが、完全になくなるわけではありません。次の春からの新たなシーズンに向けて、剪定や土づくり、機械整備などを行う必要があります。

剪定は、果樹栽培農家が主に行う冬の作業。枝先を切ることで、残った主要な枝に栄養を優先的に回す作業になります。土づくりは農業の基本。育てる植物にあわせた最適な状態の土を準備します。また、農業機械もこの時期にオイルやフィルターを交換したり、タイヤやハンドルの点検をします。また作っている野菜や果物によっては、ビニールハウスの修繕が必要な農家もあります。

また冬は、畑が次の春に向け活動を緩やかにし、エネルギーを蓄える季節であるため、畑の管理が重要となります。寒さが本格的になる前に、畑の掃除をして、土起こしをし、堆肥を散布して準備することで春に大きな違いが出てきます。土が固いと植物が根を張れず、作物が栄養や水分をうまく吸収できなくなるからです。堆肥には有機物が多く含まれているため、微生物が有機物を分解し土が柔らかくなります。これにより、土の中に水と空気の通り道ができ、植物がうまく根を張ることができるのです。

冬の時期に来シーズンの準備は不可欠

冬でも可能な農業を行う

季節問わず、冬季であっても栽培を行うことができる「ハウス栽培」。農作物を育てる際の問題である雨や気温、病害虫といった要因を避けることができるため、安定した収穫も見込めます。冬に旬をむかえる主な野菜には、かぶ、れんこん、春菊、長ねぎ、白菜、大根、ブロッコリー、ほうれん草などがあります。

収穫時期のコントロールができるため、あえて野菜が育ちにくい冬場に収穫することで高値取引を狙うこともできます。またIT技術を活用した「スマート農業」により、冬場の栽培はより簡単になりました。もちろんスマート農業により、冬場に野菜を育てる農家は増加していくと思われますが、それでもまだ、冬の野菜は高値取引されています。

海外で農業研修を受けたいなら

外国の農業を学びたい青年向けの「海外農業研修」というものも存在します。農場で実際の農作業に携わりながら学ぶ、実務研修を重視したプログラムです。農家は、こうして冬の間に知識を蓄え、次のシーズンに備えているのです。

 

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