最近、誰もが何か特別な「〇〇フリーダイエット」を実践しているようです。乳製品、脂肪、砂糖、遺伝子組み換え食品、ナッツ類、グルテンなど、避けるべき不人気食材が目白押しです。そしてなぜか今、グルテンフリーでなければならない人々が大勢いるようです。これは一体どういうことなのでしょうか?今回は、グルテンフリーについてご紹介します。
セリアック病
米国では、全人口の約1%がセリアック病と診断されています。これは、グルテンの摂取によって引き起こされる自己免疫疾患です。また、アメリカ人の6%がグルテン過敏症と推定されています。セリアック病は、腸の慢性炎症、腸絨毛の破壊、栄養素の吸収率の低下による栄養失調を特徴とします。この病気の治療を成功させるために、医師はグルテンフリー食を一生続けることを勧めています。
グルテンとは?
「グルテン」とは穀物に含まれる数種類のタンパク質のことで、プロリンやグルタミンというアミノ酸が多く含まれています。日常的に食べる食べ物と関係が深く、パン生地に弾力性を与え、食感を良くする役割などがあります。また、グルテン類は食品の口当たりを改善するための増粘剤や充填剤としても使用されています。グルテンは栄養補助食品として、血中脂質のレベルを改善し免疫力を高めると考えられています。
グルテンはどこにある?
グルテンは、小麦、ライ麦、大麦に含まれています。何千年にも渡って人類により栽培され、食されてきた栄養価の高い穀物です。パン、パスタ、ベーカリー製品、ビールなど、多くの主食の基礎となっています。 全粒粉の状態は食物繊維が豊富で、人間の腸内細菌叢にとってプレバイオティクスとして機能します。また、すぐに食べられるシリアルやパンなどの強化精製穀物食品の一部として、アメリカの食生活で推奨摂取量を下回ることが確認されているビタミンやミネラルの重要な供給源となっています。具体的な「グルテン」タンパク質は、小麦のグルテニンとグリアジン、ライ麦のセカリン、大麦のホルデインです。
この三大グルテン以外にも、スペルト小麦やライ小麦などの雑穀がありますが、セリアック病患者はこれらを摂取することができません。モルトとビールはどちらも大麦を原料としています。オーツ麦などのグルテンフリー製品は、グルテン穀物と同じ設備で加工すると、グルテンに二次汚染される可能性があります。グルテンフリーの加工食品では交差汚染が避けられないため、米国やEUでは20ppm以下が「グルテンフリー」の基準となっています。
グルテンフリーの原材料
グルテンを含む穀物の代替食材としては、米、トウモロコシ、ジャガイモ、オーツ麦、種子、雑穀、豆類、擬似穀物などがあります。擬似穀物とは、穀物以外の植物の種子を粉砕し、穀物のように粉にしたものです。キヌア、ソバ、アマランサスなどが擬似穀物の一例です。グルテンは加工食品に多くの望ましい機能特性を与えるため、味も良く望ましい食感や口当たりを持つグルテンフリー食品を調合するのは難しいことです。そのため、油脂やでんぷん、糖類を加えて、グルテンの機能を代替・再現しています。
なぜグルテンフリーはそんなに人気があるのか?
グルテンフリー食は、セリアック病患者の治療法としてだけでなく、富裕層や著名人のライフスタイルにも浸透しています。食品マーケティング研究所は、グルテンフリー食の普及はセレブリティの支持とダイエットプログラムのおかげであると分析しています。セレブリティやインフルエンサーは糖質制限食を宣伝し、セリアック病患者以外の人々にも健康に良いとグルテンフリー食を勧め、販売しています。多くの新興食品会社や大手メーカーも、グルテンフリーの流行に乗っかっています。世界のグルテンフリー食品市場は、2021年には50億ドル以上に達すると予想されています。
グルテンフリーダイエットの効果とは
グルテンフリー食が一般の人々にとってより健康的な選択肢であるという証拠は、実はありません。グルテンフリーダイエットで体重が減るというのは根拠のない噂であり、一般人がグルテンフリー食を実践して体重が減ったという報告はありません。多くのグルテンフリー食品は、グルテンを含む食品よりもカロリーが高いのです。ある研究では、グルテンフリー加工食品に含まれる高いでんぷん質、グリセミック指数、高い飽和脂質のために、グルテンフリー食が肥満の増加と関連していることがわかりました。