竹の驚異的な成長力と生態
私たち日本人と竹の関わりの歴史は古く、縄文時代の遺跡から竹を素材とした製品が出土しています。日本では古来より農業や漁業への利用のほか、伝統的な日本家屋にも竹が多用されています。また日本庭園などで手入れされた竹林には癒やしの効果があり、私たちの生活や文化に根差した素材だといえるでしょう。
一般に国内にある竹は約600種と言われています。竹は常緑性の多年生植物で、毎年地下茎の節にある芽から新しい竹を誕生させ、わずか数カ月で立派な竹に成長するという特徴があります。驚くべきことに、1日の間にマダケで121cm、モウソウチクで119cm伸びたという記録があります。
樹木で幹に当たる部分を竹類では竹稈(ちくかん)と呼びます。竹の寿命は、竹稈が太いものほど長く、一般には20年ほどといわれています。竹は上に伸びていきますが、樹木のように年輪を重ね、毎年竹稈が太くなることはありません。また同様に地下茎の成長力も強く、1年に5mも伸びたという記録があります。3~4年目の地下茎がタケノコを最も量産し、5年目を過ぎると徐々に減っていきます。それ以降は豊作と凶作がほぼ隔年で繰り返されます。
グリホサート系除草剤で防げる竹害とは
森林の荒廃の一因「竹害」をご存じでしょうか。かつて竹は私たちにとって身近な素材であり、たけのこも収穫できることから、竹林管理が行き届いていました。しかし竹材の需要が減り、輸入もののたけのこが出回るにつれ放置されるようになり、今や日本中の里山で竹が雑草のごとく増殖する状況となっています。
成長が早い竹が密集して生えると、自然の落葉樹ばかりか、植林された杉や檜などの針葉樹も成長を阻まれ、植生が乱れてしまいます。また竹藪が地震に強いというのはあくまで平地での話で、根が横に広がって深くは伸びないため、斜面が竹だらけになるとむしろ土砂災害の危険も増してしまいます。この他にも、前述した成長力と競争力の高さによる生物多様性の崩壊、里山の景観損失、民家への侵入など、竹害による影響は非常に広範囲に及びます。
放置竹林対策として、根を掘る、農薬を使うなどの取り組みが行われているのはもちろんですが、近年では竹パウダーにして肥料やぬか床などに使ったり、バイオマス発電や家具や日用品づくりに活用されたりと、よりエコでサステナブルな解決法も提案されるようになっています。
竹へのグリホサート系除草剤の使い方
竹を短期間でしっかり駆除したい場合は、除草剤を使用するのがおすすめです。除草剤には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2種類があります。既に生えている竹の駆除に使う場合には「茎葉処理剤」がベストです。「茎葉処理剤」でも様々な種類があり、地上部の葉を中心に速効性があり枯らすグルホシネート系などから、地下部の根や地下茎まで全てを枯らすグリホサート除草剤があります。竹は地下茎が残っているとまた生えてくるため、地下部をしっかりと枯らすことが重要。ですから地下部の根や地下茎まで成長を阻害し全てを枯らすグリホサート系の葉茎処理剤がおすすめです。
除草剤の竹への使い方は、噴霧器を使用したりする通常の雑草への使い方と異なり、夏から秋の生育期の竹の節にドリルなどで穴を開け、薬剤の原液を10ml注入し、穴をテープで塞ぎます。
グリホサート系除草剤使用の竹駆除経過
処理後の経過2週間で処理が適切に行われたかどうかを確認するポイントは次の通りです。竹に穴を開けてグリホサート系除草剤を注入する方法の場合は、夏に行っても完全に枯れるまで2~3ケ月を要します。地下茎が腐り、枯れた地上部を簡単にひっこ抜けるようになるまではさらに冬まで待つ必要があります。また周辺に生えたたけのこは食べないようにしましょう。
- 1週間後のチェックポイント
除草剤を注入して数日経つと成長が極端に遅くなります。竹の根元の方の節と節の間の間隔を見ることである程度の判断ができます。処理前の節と節の間隔よりも3分の1〜10分の1程度になっていたり、節が斜めになったりと、明らかな生育不良が確認できるようになります。
- 2週間後のチェックポイント
竹の上の部分が黄色に変色しはじめます。ここまで確認できれば、あとは放置するだけで枯れていきます。あとは地上部を処理しやすくなるよう、地下茎が腐るのを待ちましょう。
逆に2週間経っても上記チェックポイントに相当するような変化が見られない場合は、再度グリホサート系除草剤を注入することをおすすめします。
ご近所トラブルに発展しないために
竹の地下茎は放置すると次第に伸び続けるので、それによって他人の家の敷地内まで侵入し被害が出てトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。ご自宅の周りの竹林の処理を考えている方は、手軽に手に入るグリホサート系除草剤の活用を検討するといいでしょう。