耕起によるデメリット
通常の農業では表土を柔らかくしたり雑草を除去したりすることを目的に耕起をします。
しかし、耕して土を柔らかくすることで土壌は流出されてしまいます。
柔らかい土は雨で簡単に河川に流出するからです。日本のような雨が多くて温暖な気候では植物はすぐに腐り腐植となって土壌の再生がされますが、他国の寒冷や湿地で簡単には土壌が再生しないこともあるので、このような土地では、何千年もかけて作られた土壌のみが存在し、農業により短期間で流出した場合は砂漠化を招き、短期間では元に戻らないという問題があります。
不耕起のメリット
不耕起、耕さないことで作物の残渣や肥料などの有機物は土壌の表面にとどまり有機物の働きが活性化され土壌環境が改善され、土の表面に有機物が豊富な層ができます。
有機物が集積した層は土壌に住む生物の餌、そして住み家となります。
土壌に住む微生物が増えると、それらを餌とするミミズやクモなどの生物も集まってくるため、土壌環境を整えてくれます。
言い換えると、作物に必要な養分の調整を土壌が行ってくれるので、人為的に土壌の養分調整をする必要がなく、養分過多による病害被害を抑えることができます。
土地の有機物を増加させて二酸化炭素を吸収させる農法として注目されています。
グリホサートで雑草対策
不耕起栽培で雑草対策をどうするかとなりますが、グリホサート系除草剤で雑草を枯らします。グリホサート系除草剤は、植物の葉や茎から吸収し、植物独自のアミノ酸を合成する代謝経路を阻害して植物を枯らします。土壌でも微生物によって自然物に分解されます。
そのグリホサートの作用機構と安全性から農業だけでなく広く使われています。
もう一つの雑草対策は、草の根を残したまま、草刈り機などで刈り取り、刈った草は、栽培作物の周囲にマルチとして敷いて、雑草成長を抑える方法です。これは大変手間がかかるので大規模農業では難しいです。
グリホサートの安全性
日本の場合は内閣府食品安全委員会が食品健康影響評価に関する審議結果として「グリホサートは神経毒性、発がん性、繁殖能にたいする影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」と報告しており、事実上これが公式の見解となっています。
食品安全委員会 食品健康影響評価に関する審議結果:
https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka.data/kekka_no_glyphosate_280406.pdf
欧州や米国の多くの公的機関でも、多くの科学的データを基に専門家が判断してグリホサート イソプロピルアミン塩の慢性毒性について否定しています。
グリホサート 除草剤は40年以上利用されているのですから、仮に人体に慢性毒性があるとしたら、消費者よりも多量に扱っている人たちである農薬会社で製造に携わる人や、農薬を散布している人などにがんをはじめとした慢性疾患が現れても不思議ではありません。
しかし、このような報告はあってもグリホサート系除草剤との因果関係が科学的に証明されたものはありません。