グリホサートの安全性は、一日摂取許容量(ADI)で保証されている

目次

日本の農作物はポジティブリスト制度で守られている

食品衛生法に基づき、グリホサートの残留基準値が変更されたことで「日本の農薬の基準が緩すぎる」という批判が噴出しました。しかし、基準値は一様に緩和されたわけではなく、逆に厳格化されたものもあったのです。例えば、小麦、ソバ、なたねなどの33品目は緩和されましたが、きのこ、いんげん、えんどう、肉類などの35品目は厳格化されました。その他102品目は変更されず、そのままです。

そもそも、日本の農作物はポジティブリスト制度で守られています。ポジティブリスト制度というのは、食品(作物)ごとに農薬の残留基準値を定め、それを超える農薬残留があれば流通を禁止するという制度です。この制度の規制には「一律基準」「暫定基準」「対象外物質」が設けられています。

「一律基準」は、原則として0.01ppmの残留基準が設定されています。「暫定基準」は、農薬の残留基準がない作物に対して、CODEXなどの基準を参考に設定されるものです。また、ポジティブリスト制度の対象とならないものとして、重曹やアミノ酸など65物質が「対象外物質」として定められています。一律基準、暫定基準どちらも、基準値を超えるとその食品(作物)の流通は禁止されます。

グリホサート ADI 一日摂取許容量 小麦粉 パン ポジティブリスト制度
ポジティブリスト制度により日本の農作物は守られている

グリホサートの一日摂取許容量(ADI)とは

グリホサートに関しては、科学的根拠のない言説が引用され、批判に用いられることが多いです。「本当に安全なのか」「健康に影響はないのか」という懸念を持つ人が多いということでしょう。そこで考えたいのは、一日摂取許容量(ADI)です。一日摂取許容量(ADI)というのは、人が毎日、一生涯食べ続けても、健康に悪影響が出ないと考えられる量のこと。

化学物質というのは、多く摂取すると必ず何らかの障害が起こります。例えば、食塩(塩化ナトリウム)を200g~300g一度に摂れば死んでしまうでしょう。しかし、食塩は毒ではありません。1日に5g程度であれば、毎日食べ続けても安全です。ということは、化学物質そのものが毒かどうかということではなく、どれだけの量を摂取するのかということが大事ということになります。

グリホサートの安全を決めているのは、一日摂取許容量(ADI)です。毎日食べ続けても何の影響もない量のADIは「1mg/(体重)1kg/日」と決められています。体重50kgの人は、1日に50mgまでなら無害ということです。発がん性もありません。

一時期、小麦粉の残留農薬が注目されました。しかしパンの安全性については、日本パン工業会より「パンに関するグリホサートの健康上の懸念は全く不要」と公式見解が出されています。ADIを考えると、その残留農薬は全く問題ない数値だったからです。

グリホサート ADI 一日摂取許容量 小麦粉 パン ポジティブリスト制度
外国産小麦を使ったパンでも安全

農薬残留基準値や一日摂取許容量(ADI)を決める食品安全委員会とは

日本の食品の安全を守る仕組みは「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」で構成されています。食品安全委員会はこのうち「リスク評価」を担う機関です。

食品安全委員会は、食品安全基本法に基づき平成15年7月に内閣府に設置されました。科学的知見に基づき、中立公正にリスク評価を行う機関です。7名の委員で構成され、その下に農薬・添加物・微生物など、危害要因ごとに16の専門調査会があります。

食品安全委員会で行われる残留農薬のリスク評価は、農薬の毒性と食品を通じた摂取(曝露量)で決まります。毒性の評価は、特性を考慮しつつ毒性試験の結果をもとに行われるでしょう。農薬の曝露については、長期と短期の二通りに分けられます。慢性曝露におけるリスクは一日摂取許容量(ADI)、短期曝露のリスクはARfDで評価されます。

グリホサートは世界の農業市場で必要不可欠

「結局、無農薬が一番いい」という意見もあるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか?農薬については世界各国で厳しく基準が設けられています。随時抜き打ち検査が行われ、違反していれば回収や輸入禁止になるでしょう。昔は毒性の強い農薬もあったため、悪い印象もあるかもしれません。しかし現在では規則も厳しくなり、安全な農薬しか使えなくなっているのです。

メキシコでは、オブラドール大統領が「2024年までにグリホサートを禁止する」という法令を発表しています。しかし、その法律施行の凍結を求める訴訟が起きています。グリホサートは世界の農業市場で必要不可欠なものです。グリホサートが使えないということは、農業の国際市場での競争力を失うということに他なりません。

グリホサート ADI 一日摂取許容量 小麦粉 パン ポジティブリスト制度
世界中の農業で使われているグリホサート

世界150カ国でその安全性が保証されているグリホサート

グリホサートは、世界各国で小麦を含む多くの農作物に使用されています。世界150カ国でその安全性は保証されているのです。グリホサートにまつわる風評や、科学的根拠のない言説に惑わされず、食生活を楽しみましょう。

シェア
Share on facebook
Share on twitter