グリホサート禁止は現実的でないと世界の国々が気づく背景

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グリホサートは世界150ヵ国以上で承認された成分。世界的規制機関も発がん性を認めていない。

ラウンドアップなど、非選択性除草剤の主成分であるグリホサートの承認国は、2021年10月時点で世界156カ国。東京パラリンピック2021には161カ国からの参加がありましたが、それとほとんど同じであり、まさしく世界中で承認されていると言っても過言ではないでしょう。

グリホサートは市場に出て以来40年以上、安全に使用されてきました。しかし、どこかの地域でグリホサート製品が禁止された、とか、ある国ではグリホサート製品を何年後に禁止しようとする法案が提出された、といったニュースが大きく報道されがちなため、危険な農薬だと考える人も少なくはない状態です。しかし実際にグリホサートが禁止されたら農業が立ち行かなくなる国がたくさんあることはあまり知られていません。

グリホサート禁止を予定していたメキシコが禁止に出来ない背景

メキシコでは左派のオブラドール大統領が、2024年までにグリホサートを禁止する法令を発表しています。しかし、グリホサート禁止がメキシコの「農業生産に影響を与え、その結果、食料安全保障と主権に影響を与える」リスクがあります。このことから、法律施行の凍結を求める訴訟が提起されているのです。また代替手段として、グリホサートの400倍近い毒性を持ち、土壌微生物活性に影響を及ぼす可能性が高く、グリホサート以上に厳格な管理が求められる除草剤が推奨されているという本末転倒まで起こっています。

農業生産に悪影響を及ぼすグリホサート禁止

オーストリアの例を見ると、これまでグリホサートの全面禁止を盛り込んだ改正案を採択しようと二度試みて頓挫しています。この事に関し、オーストリアの農家はグリホサートの使用が可能であることに「安堵している」とUSDAのレポートは報告しています。全面禁止になると、農業市場での競争力を失うことになるからです。

EUでまとまらないグリホサート使用に対する考え

遺伝子組換え食品・作物は今でも環境団体や消費者団体の攻撃対象となっています。それは、2015年3月に世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC) が「グリホサートはおそらく発がん性あり」とグループ2Aに分類したことに端を発しました。

ヨーロッパでは米国のような発がん性裁判は起こっていませんが、グリホサートの安全性承認をめぐって、環境団体が反対し、遺伝子組換え食品反対のグループや政治家を巻き込むケースが頻発しています。EUの農薬の使用期限は原則15年で更新されます。グリホサートも2016年6月に再更新が予定されていたが、2015年3月のIARCの発がん性発表で、政治問題化しました。2016年は場当たり的に1年半延長し、2017年に5年間の更新を行うことで乗り切りました。グリホサートはEUでも広く使われており、使用禁止になると生産現場は大混乱します。そして、次の更新時期が2022年11月に迫っていましたが、5月、欧州食品安全機関(EFSA)は評価のタイムスケジュールを1年先送りし、2023年7月までに最終結論を出すと発表しました。

世界中の安全性評価機関にグリホサートの使用が認められている

日本では食品安全委員会を通してグリホサートの安全性が認められている

世界中の安全性評価機関がグリホサートに発がん性は無く安全であると認めています。グリホサートを有効成分とする除草剤は、40年以上に渡って世界中で使用されています。日本食品安全委員会を含む主要国の規制当局は、すべての農薬と同様に、グリホサートに関する最新の安全性データを常に調査しており、グリホサートに発がん性がないこと、グリホサートを有効成分とする除草剤は表示どおりに使用される限り安全であると、繰り返し結論づけています。日本食品安全委員会は「神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった (2016年3月)。」と結論づけています。

またグリホサートの内閣府食品安全委員会が定めたADI(一日摂取許容量:人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量)は体重1kg当たり1mgです。これは、例えば体重50kgの人が50mgのグリホサートを毎日、一生涯、摂取し続けても、健康に問題がないことを示しています。

科学的知見による各当局の結論への理解が必要

上記のグリホサートの安全性に関する規制当局の結論は、膨大なGLP試験結果に基づき現代毒性学・毒性病理学を含む最新の科学的知見に照らし合わせて導き出されたものです。農業作業者及び一般消費者にとって、グリホサートの安全性に関する正しい理解が必要とされています。

 

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