はちみつを安心して口にするために。グリホサート残留の安全性を知ろう

目次

ニュージーランド産はちみつのグリホサート残留値が注目された背景

ニュージーランド産の一部のはちみつ、特にマヌカハニーからグリホサートが検出されたという報道が、2020年7月にありました。これは、ニュージーランドの第一次産業省が全国からはちみつのサンプルを集め、グリホサートの残留を調査した報告書に基づくものでした。

ニュージーランド政府は、2017〜2019年の期間にわたり、グリホサートに特化した残留農薬調査を行いました。1回目の調査では、300のサンプルのうち22.3%(67サンプル)からグリホサートが検出されました。ただし、農薬残留基準値を超えたのは1.7%未満で、検出されたグリホサートは市販品としての製品ではなく精製前の原料のサンプルでした。2回目の調査では、60個のサンプル中18.3%(11サンプル)からグリホサートが検出されましたが、農薬残留基準値を超えたものはありませんでした。

この報告を受けて、日本でもニュージーランド産のはちみつに対する検疫が強化され、2020年10月と12月に、いずれもニュージーランドの基準値内ではあるものの、日本の基準を上回るグリホサートが検出されたため注目を浴びたのです。

日本政府が定めるはちみつに対するグリホサート残留基準値は0.05ppm

はちみつのグリホサート残留基準値は、国や地域によって異なります。例えば、ニュージーランドの基準値は0.1ppmですが、日本の基準値は0.01ppmとなっています。また、EUでは0.05ppmとなっています。

日本のはちみつの残留農薬基準は世界的に見てもトップレベルの厳しさ

このように、基準値が異なる理由は、国や地域ごとに異なる法律や規制、または人々の意識や価値観によって異なるためです。日本の基準値が厳しい理由は、日本において食品の安全性が非常に重視されているためであり、より安全な食品の提供が求められているためです。

2021年1月には、日本の検疫でニュージーランド産のはちみつすべてに検査が課されることになり、ニュージーランドでも、日本へ輸出するはちみつには日本の基準に合わせた厳しい検査が義務付けられるようになりました。

ミツバチが受ける農薬汚染はグリホサートからのみという間違い

報道のおかげでグリホサートばかりが非難を受けているように誤解されがちですが、実際には、ミツバチが汚染される主な原因となる農薬は何でしょうか。蜜蜂や巣の中の農薬に関する研究によると、養蜂で使用される殺ダニ剤であるフルバリネート、クマホス、アミトラズなどが、ミツロウ中の農薬として高い検出率を示しています。

特にフルバリネートとクマホスは、ほぼ全てのサンプルから検出され、フルバリネートは平均7.4mg/kgと非常に高いです。これに対して、グリホサートの基準値超過事例は0.05mg/kgですから、100倍も高い数値です。

ミツバチの農薬汚染で一番問題なのは防ダニのために使われる農薬でグリホサートではない

また、ミツバチ自体から検出される農薬を見ると、フルバリネートとクマホスが圧倒的に検出率が高く、高濃度の農薬はアミトラズ、フィプロニル、カルバリルなどの殺虫剤ですが、検出率は低いです。したがって、はちみつやミツバチにおいても、一般に報道さ食品安全委員会れるような農薬に限定されるわけではなく、養蜂で使用される殺ダニ剤にも注目する必要があると思われます。

食品安全委員会が認めるグリホサートの安全性

日本の食品安全委員会は、グリホサートに関する安全性について定期的に評価を行っており、現時点では適切な使用方法においては安全であるとの見解を示しています。

グリホサートは、国際がん研究機関(IARC)による2015年の報告書で2A類の「発がん性がある可能性がある」とされました。しかしこれに対し、国際機関である世界保健機関(WHO)と食品農業機関(FAO)の合同専門家会議や、欧州食品安全機関(EFSA)、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)など世界の安全機関が、グリホサートは現在の使用基準下では健康に影響を及ぼさないとの見解を示しています。

農薬残留基準値はしっかりとチェックされている

日本の農薬残留基準値が海外のそれよりも厳しい場合、該当する品目は輸入する前に検査に引っかかり、日本へと輸出されることはありません。またグリホサートのはちみつへの残留は、心配する必要がないことが分かりました。事実関係を正しく認識し、美味しいはちみつを日々の食卓で楽しみましょう!

 

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