オーガニック食品は従来の食品より健康的?

目次

オーガニック食品の功罪?

オーガニック食品は、従来の食品よりも健康的な栄養素を含んでいると信じて購入する消費者は、お金を無駄にしていることになります。

-ジョセフ・ローゼン、ラトガース大学名誉教授(食品毒物学)

できる限りオーガニックの食品を選ぶ習慣をつけることで、自然が与えてくれる栄養を確実に摂取することができます。生涯にわたって健康を促進し、維持するためのライフスタイルを構築するための基礎となるものです。

-アンドリュー・ワイル、オーガニック・トレード・アソシエーションのオーガニック・センターの前理事会メンバー

オーガニック食品
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オーガニック食品が人気の理由

オーガニック食品が人気なのは、従来の農法で作られたものよりも健康的で栄養価が高いと思われているからでしょう。「従来の農法で使用される農薬や除草剤は土壌の質を低下させ、食品には危険なレベルの残留農薬が含まれている」というのが有機農法支持者の主張です。しかし、現在使用されている農薬はすべて環境保護庁によって厳しく規制されており、指示通りに使用すれば人間の健康を脅かすことはないとされています。また有機農家も農薬を使用しており、従来の農法で使用しているのと同じ化学物質を使用しているという場合もあるのです。

オーガニック食品
オーガニック食品は人気があります

健康面や栄養面での違いはない

広がっている誤解に対して、2021年4月、国連の食糧農業機関は「オーガニック食品は健康的で美味しく、環境に優しいと消費者に見られがちですが、オーガニック食品認証は必ずしも安全な食品の代名詞ではありません」と述べています。

独立した機関の研究によると、従来の農法で栽培された食品と有機的に栽培された食品の間には、健康面や栄養面で大きな違いはないという結論が出ています。また、栄養素あたりのコストを考えると、従来の農法の食品の方が勝っていると言えるでしょう。多くの栄養士は、栽培方法に関係なく、人々が野菜や果物の消費量を増やすことの方が重要だと主張しています。

スタンフォード大学医学部のオーガニック食品研究

スタンフォード大学医学部の研究者たちは、2012年に「オーガニック食品は、従来の食品より安全で健康的か?」という、これまでで最も包括的な独自調査を実施しました。何千もの論文を調べ、分析しましたが、オーガニック食品がより安全で栄養が豊富であるという概念を裏付けるものは何も見つかりませんでした。ただ、オーガニック食品は残留農薬が30%低いということはわかりましたが、そもそも従来の食品の残留レベルは安全性の範囲内だったのです。

このスタンフォード大学の研究結果は、英国食品基準庁の依頼で行われたロンドン大学衛生熱帯医学大学院の科学者が2009年にアメリカ臨床栄養ジャーナルに発表した、50年にわたる研究と5万件以上の論文から抽出した137の研究のレビューと同じものでした。要するに「オーガニック栽培と従来の農法で栽培された食品の間で、栄養の質に差があることを示す証拠はない」ということです。

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オーガニック食品の利点

従来の農法にはないオーガニック食品の利点として「抗酸化物質やオメガ3脂肪酸、フェノール類がより多く含まれている」という主張がありますが、科学者によればそれは正しくない可能性があると言われています。また、牛肉についても有機的に育てられた方が良いと言われますが、牧草を食べているか穀物で育っているかという違いだけで、有機的に育てられたかどうかとは関係がないかもしれません。

残留農薬レベル

食品中の残留農薬については、科学者の間では、従来の食品の方が場合によっては残留農薬のレベルが高いこともあるが、そのレベルの高さは取るに足らないということで意見が一致しています。スタンフォード大学の分析では、有機食品は従来の食品より30%残留量が少ないというものでしたが、従来の食品はすべて世界の安全基準の範囲内の農薬レベルであることが判明しています。つまり、有機食品を含むほとんどの作物には、無害な農薬が微量に含まれているのです。従来の農家と有機農家で使用されている認可済みの農薬は安全であり、人間に対する毒性の差は僅少です。化学農薬は、合成であれ天然であれ、適切に使用すれば「基本的に無害」なのです。

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国連食糧農業機関による結論

2021年、国連食糧農業機関(FAO)は、有機産業とその擁護者によるマーケティング上の主張を受けて、有機食品は「必ずしも安全な食品と同義ではない」と結論づける分析を発表しました。農業のあらゆるアプローチには、固有の利点と課題があります。その結果、有機栽培の果物や野菜が従来のものと比べて健康的で安全であるという科学的な証拠は得られていません。

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