アメリカの最新農業「アグリフッド」と日本の「都市農業」の取り組み

目次

アメリカの新しい農業コミュニティ「アグリフッド」とは

アグリフッド」とは、アメリカ農業を基盤とした住宅コミュニティのこと。アグリフッドとは「アグリカルチュラル・ネイバーフッド(Agricultural Neighborhood)」を略した造語です。共同農園や共同キッチンなどの農園施設が住居と一体となって整備されているのが特徴で、田舎暮らしをするように近隣の住人と一緒に野菜や果物を育てることが出来ます。

アグリフッドは都市からそんなに離れていない場所にあり、都会的で便利な生活を送りつつ、田舎暮らしのようにのびのびと過ごすことが出来るのです。このライフスタイルがちょうどいいと、アメリカの健康志向な若い家族(ミレニアル世代)を中心に注目を集めています。現在アメリカでは、100を超えるアグリフッドが整備されているそうです。

例えば、アメリカ・カリフォルニア州のオレンジカウンティーにあるアグリフッド。共同農園が整備され、農園体験に参加したい住民は利用料金を払いボランティアで農作業を行います。その代わり、菜園が開いている時はいつでも新鮮な野菜を採ることが出来る仕組みです。都会的で洗練された住居で暮らしながら、豊かなスローライフが実現出来ます。

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アグリフッドでは近隣住民と共に栽培出来るのが醍醐味

アグリフッドのアメリカでの農業事例

最近のアグリフッドの農業事例をご紹介しましょう。2021年夏、アメリカ・カリフォルニア州のサンタクララで、アグリフッドの建設が始まりました。1.5エーカーの農場が住宅に隣接され、毎年最大2万ポンド(約9トン)の農作物を栽培します。年に3回の収穫が予定され、有機栽培された農産物が、毎週住民向けに割引価格で販売されるそうです。カリフォルニアの都市農業企業ファームスケープが農場を管理し、住民が自分たちで栽培出来る区画も用意されます。都市にいながら農業体験が出来ることで、健康と福祉の促進が期待されているアグリフッドです。

カリフォルニア州デイビス市内のアグリフッド「ザ・カナリー」は、新規就農者育成農園(インキュベーションファーム)があるのがユニークな点です。農地調達が困難な新規就農者に貸し出すことで、農業の担い手育成に一役買っています。ザ・カナリーはもともとトマトの缶詰工場があった場所を、土壌改良し農地と宅地に戻しました。そのため、都市農園を作るモデル手法として注目されています。

日本の「都市農業」という取り組み

アグリフッドとは少し違いますが、日本でも「都市農業」という取り組みが推進されています。都市農業とは、都市環境で行われる全く新しい農業の形態のことです。この形態は、食料自給のためというよりは、環境保全や循環型農業という意味合いが強いかもしれません。

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日本の都市部では狭い農地が点在している状態

都市は便利ですが、人口も多く、場所が限られています。そこで、効率良く持続可能な栽培方法で農業を行う取り組みが行われているのです。都市農業の事例として最もよく挙げられるのは、水耕栽培でしょう。水耕栽培には土壌環境が必要ありません。利用する水を循環させることで、土壌栽培の1/10の水の量で済むと言われています。持続可能性が高く、上手く行けば安心で安全な野菜を年中無休で供給することも可能です。

例えばこの水耕栽培を、立ち並ぶビルの屋上で行ったとしましょう。屋上での水耕栽培により、太陽光の断熱効果や、二酸化炭素排出量の削減が見込めます。また、育てた野菜をそのままビルのレストランで提供できれば、地産地消を謳うことも出来るでしょう。都市農業は生産者と消費者の距離が近いため、安心感が消費者に伝わりやすいのもメリットといえます。

日本の「都市農業」の事例

日本の都市農業の実際の取り組みとしては、東京都心で活動する「アーバン ファーマーズ クラブ」の取り組みがあります。恵比寿・渋谷・表参道などの都市で空き地を畑として活用し、地域住民と働く人々で都市農業を行っているのです。世代を超えて10代から70代まで参加するコミュニティで、皆が共に汗を流しています。

このような動きはあるものの、日本では都市農業の規模は年々縮小しているのが現状です。周囲を住宅地に囲まれ、農地は住宅の間を縫うように分散しています。これからの食料供給や環境保全のことを考えると、日本は都市農業にもっと積極的に取り組んでいく必要があるでしょう。

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日本はもっと都市農業に積極的に取り組むときが来ている

アメリカの農業「アグリフッド」にならって

日本が都市農業に取り組むにあたり、アメリカの新しい農業の形である「アグリフッド」は大いに参考になるでしょう。土に触れて作物を育てるということは、人間にとって癒やしになります。自分達が作ったものを自分達で食すというのは、子どもの食育にも有意義です。健康と福祉の促進という観点で、これから日本の都市農業が発展していくことを願います。

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