グリホサートとは何ですか?
グリホサートは、雑草の管理に使用される多くの商業向け・住宅向けの製品に使用されている除草剤であり、最もよく知られているのはラウンドアップです。植物にしか見つかっていない生物学的プロセスを阻害することによって、雑草をコントロールします。
(参考:グリホサート除草剤の仕組み)
グリホサートはヒトのがんリスクを高めますか?
現在、グリホサートの使用をヒトにおけるがんの発達に直接結びつける科学的研究は発表されていません。そのため、米国環境保護庁(EPA)は2017年12月に、グリホサートはヒトに発がん性がないと結論付ける報告書を発表しました。
(www.epa.gov/pesticides/epa-releases-draftrisk-assessments-glyphosate)
EPAは、2019年4月にこの結論を再び再確認のため明言しました。この結論は、世界中の他の規制機関と一致する結論です。
一方、国際がん研究機関(IARC)の2015年の報告書は、グリホサートを「ヒト発がん性物質の可能性がある」と分類しました。同じように分類されたものには、他に下記を含む様々なものがあります:
- 赤肉
- 屋内で木材を燃やすことによる排ガス
- 高温で揚げものをすること
- 深夜の作業シフト
上記はIARCによって「ヒトに対しておそらく発がん性がある可能性がある物質」に分類されましたが、他にもIARCは「ヒトに対して発がん性があるとわかっている物質」には下記のようなものを分類しています。
- 加工肉
- すべてのアルコール飲料
- 日光
- エンジンの排気
- 屋外の大気汚染
「おそらく可能性がある」と「わかっている」のヒト発がん性物質に関するIARCレポートの完全なコピーは、monographs.iarc.fr/list-of-classifications-volumesで入手可能です。(*現在はリンク切れのようです)
(参考:グリホサート日本における安全性に関する情報(日本語))
(参考:米国や国際政府機関などのグリホサート評価(日本語))
(参考:グリホサート分析結果の一例(日本語))
UTエクステンションはグリホサートをお勧めしますか?
(UTエクステンションとは、テネシー大学のコミュニティ向けプログラム名です。青少年育成や、消費者への科学情報提供を含む活動をしています。)
UTエクステンションは、連邦および州の規制に従ってグリホサートを推奨しています。グリホサートは、EPAとテネシー州農務省により、雑草管理のためにテネシー州で登録されています。この登録は、製品の安全性を確立するために行われた科学的実験の厳格な審査に基づいています。グリホサートを含むすべての農薬は、エンドユーザーに継続的な安全性を確保するために、最新の方法を使用してEPAによって定期的に見直されています。UTエクステンションの推奨事項はすべて、健全な科学と規制プロセスに基づいています。
グリホサートはどのように安全に使用できますか?
グリホサートを含むすべての農薬は、ラベルの指示に従って使用する必要があります。ラベルを見れば、製品の適切な使用を保証するために、従う必要がある使用方法が書いてあります。また、ラベルによるとロングパンツ、シャツ、手袋など、適切な保護具を着用して使用することが必要とされています。
(参考:グリホサート安全シートデータ(日本語))
グリホサートに関する詳細情報はどこで見つけることができますか?
人間へのグリホサートの安全性を探求するすべての公表された研究の徹底的な要約は、plantoutofplace.com/2018/08/glyphosate-and-cancer-revisitedで入手可能です。
免責事項
この出版物には、いつでも変更される可能性のある農薬の推奨事項が含まれています。この資料の推奨事項は、ガイドとしてのみ提供されています。使用されている特定の農薬に関するすべての現在のラベルの指示を読んで従うことは、法律によって、常に農薬使用者の責任です。ラベルは、このドキュメントの推奨事項よりも常に優先されます。
本書では、トレード名やブランド名を使用することは、明確で情報を明確にするためです。類似した、適切な組成である可能性のある他の製品の除外に対する製品の承認を意味するものではなく、また、製品の標準を保証または保証するものではありません。著者、テネシー大学農業研究所、テネシー大学エクステンションは、これらの勧告の使用に起因する責任を負いません。
W 827 06/19 19-0249 農業と天然資源のプログラム, 4-H青少年育成, 家族と消費者向け科学, 資源開発.テネシー大学農務院、米国農務省、郡政府が協力しています。UTエクステンションは、プログラムと雇用に平等な機会を提供します。
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上記の記事は、下記 のとおりテネシー大学農業研究所のプログラムによる出版物の日本語訳です。
Frequently Asked Questions: Glyphosate. 2019. Brosnan, et al. UT Extension, Institute of Agriculture, The University of Tennessee.
https://extension.tennessee.edu/publications/Documents/W827.pdf [Retrieved on January 30, 2021][Translated into Japanese on January 31, 2021 by glyphosate-fact-sheet.com]
原文の著者: Jim Brosnan, Associate Professor, Department of Plant Sciences Greg Breeden, Extension Specialist, Department of Plant Sciences Robert Hayes, Professor, Department of Plant Sciences Tom Mueller, Professor, Department of Plant Sciences Neil Rhodes, Professor, Department of Plant Sciences Ginger Rowsey, Communications Specialist, UT Institute of Agriculture Scott Senseman, Professor and Head, Department of Plant Sciences Larry Steckel, Professor, Department of Plant Sciences
原文著者(翻訳):ジム・ブロスナン植物科学科グレッグ・ブリーデン准教授、植物科学科のロバート・ヘイズ教授、植物科学科トム・ミューラー教授、植物科学科ニール・ローズ教授、植物科学部門ジンジャー・ロウシー教授、コミュニケーションスペシャリスト、UT農林研究所スコット・センスマン教授、植物科学科ラリー・ステッケル教授
Youtubeチャンネル:グリホサートファクトシート
今回の記事「よくある質問: グリホサート byテネシー大学農業研究所」を動画にして、Youtubeにもアップロードしてますので、ぜひ観にきていただければ嬉しいです。
文中の青字*は翻訳編集コメントです。
今回は、アメリカのテネシー州の大学が青少年育成、消費者向けの科学情報提供などのために行っているエクステンションプログラムの中で作成した、グリホサートについての「よくある質問」という出版記事を翻訳・転載しました。
文中にあったIARCの分類リストについてですが、「グリホサートは赤肉と同程度らしい」というのはともかく、それよりも「リスクがわかっているもの」として「加工肉」「日光」「アルコール飲料」などが挙げられたというのは面白いですね。
「酒」「加工肉」などは体に悪い側面も分かっていながら、おいしいなど良い効果もあるので毎日のように安全な量を摂取するのは多くの人においてあたりまえになっています。それなのにグリホサートは、なぜかやりだまに挙げられがちですね。明確に研究されている安全量に遥かに及ばない少ない量しか人の体には届かないのに、です。もうこれはイメージの問題か、または消費者の立場では生産サイドにおける植物への良い効能がイメージできないからなのでしょうか。
おいしい野菜を作る生産者への手助けとなるアイテムの大切さと安全性が、もっと知られるとよいと思います。 [編集コメント]