ふるさと納税とは
多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。しかしその結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。そこで生まれたのがふるさと納税制度です。
「納税」という言葉がついているふるさと納税ですが、実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。全額控除される寄附金額には、収入や家族構成等に応じて一定の上限がありますので、確認が必要です。
自分の生まれ故郷に限らず、どの自治体にでもふるさと納税を行うことができますので、それぞれの自治体がホームページ等で公開している、ふるさと納税に対する考え方や、集まった寄附金の使い道等を見た上で、応援したい自治体を選びましょう。
ふるさと納税と農業の関係
ふるさと納税は寄付をする側、寄付を受ける自治体や、お礼品の農産物の生産を担う農家のそれぞれにメリットがある制度です。これらのメリットは、ふるさと納税が今日のように普及している要因と言えます。ふるさと納税が行われることで、農家が受けるメリットには次のようなものがあります。
- 地域のPRができる
ふるさと納税を導入してサイトに掲載されるだけでもPR効果は大きいです。また、ふるさと納税をした人は、いずれ納税をした地域に訪れたいと考えていることがわかっています。地域の観光とも連携して盛り上げていくことも可能です。
- 地域の活性化、雇用の創出につながる
人口が少ない自治体でも、幅広く財政収入を確保できることで、地域の活性化、それによる雇用の創出も期待されます。若年層の雇用を確保することで、活性化の好循環も生まれ、農家の若い働き手が増えるチャンスとなります。
- 消費者とつながるチャンスが増える
ふるさと納税のお礼品が、消費者と生産者を直接つなげるきっかけとなり、リピーター獲得につながるチャンスとなっています。ネットショップを訪問してくれるリピーターなど、ファンを獲得することによって注文を増やしている農家も増えています。
ふるさと納税成功例
ふるさと納税制度を通じて、実際どのような成功事例が生まれているのでしょうか。北海道と鳥取県の2つの事例を紹介します。
1つ目の事例は、子育て支援の充実で人口が増加した、北海道の中央に位置する十勝地方の上士幌町(かみしほろちょう)です。上士幌町では、ふるさと納税を活用し、認定こども園の保育料無償化、英語教育のための外国人講師の配置、少人数学級の実現など、安心して子育てができるまちづくりを進めています。また、寄附者との継続的な交流を図るための職業案内、移住体験ハウスの提供、移住体験ツアーなども行っており、結果として人口増を記録しています。
2つ目の事例は、歴史ある駅舎の再生により、にぎわいの創出を生み出したケースです。鳥取県日野町では、大正5年に建築された数少ない木造建築である近江鉄道日野駅があり、ふるさと納税による再生プロジェクトが立ち上げられました。「多くの人に愛されてきた駅舎を100年先まで残す」という意気込みで始まった本プロジェクトは、無事に成功。駅舎再生記念イベントには、招待された寄附者が約2,000人集まったとのことです。
ふるさと納税お礼品としてもらえる地方特産品
ふるさと納税人気の自治体は、一体どんなお礼品を提供しているのでしょうか。最新のデータでの上位5つの自治体は、次の通りとなっています。
- 北海道 紋別市:ほたて、ズワイガニ、いくら
- 宮崎県 都城市:宮崎牛、都城産豚「高城の里」
- 北海道 根室市:ウニ、ホタテ、花咲ガニ、いくら
- 北海道 白糠町:イクラ、数の子、チーズ
- 大阪府 泉佐野市:熟成牛、牛タン、泉州タオル
1位の北海道紋別市はホタテなどの海産物が毎年人気を集めています。2位の宮崎県都城市は肉類のお礼品が、3位の北海道根室市、4位の白糠町はホタテやイクラなどの新鮮な海産物が人気です。5位の大阪府泉佐野市は一時期は制度の対象外となりましたが、復活してランキング入りです。
制度規制後も魅力的なふるさと納税お礼品
ふるさと納税制度は、2019年6月に制度規制がありました。それでもこれだけ魅力的なお礼品が受け取れるのであれば、一度はやってみたいですよね。ふるさと納税の納税先はさまざまなサイトで紹介されていますので、一度サイトを見てまずは欲しいものがあるかどうかを確認してみるのも良いでしょう。