大好きなチョコレートやお茶。その原料を生産している「プランテーション農業」について考えよう

目次

プランテーション農業とは?その背景ある植民地支配の歴史

人の暮らしに必要不可欠な農業には、様々な農法と歴史があり、その一つが「プランテーション農業」です。

「プランテーション」とは欧米諸国の植民地であった国々が、植民地支配をしている国に輸出するために作物を栽培する大規模農業の事を指します。19世紀後半からこの農法は急速に発展し、多くの国で見られるようになりました。

嗜好品を主軸とした単一の作物を、大量に宗主国(植民地支配をしていた国のこと)に輸出する目的で栽培されていました。現地で働く人々の労働環境は非常に劣悪で、戦争が生み出した植民地支配という悪しき歴史が伺い知れます。

プランテーション農業では単一作物が商品として栽培されましたが、元々現地が必要としていない作物が大量に栽培される事で、植民地の経済に与えた影響は重大です。

そんなプランテーション農業ですが、過去の話ではありません。その土地・気候に合った作物である事や、長年大量に栽培することでノウハウが蓄積されたことなどから、現在も続けられています。

プランテーション農業の特徴

プランテーション農業の特徴について、もう少し掘り下げてみましょう。

熱帯地域の大農園を主として、熱帯特有の作物を1種類にしぼり、同じ作物ばかり集中的に大量に作る事が一番の特徴です。アジアの中でも特に雨が多い東南アジアや南アジアなど、熱帯地域の国で行われています。

プランテーション農業はアジア地域に多い

自国で消費する為に栽培されているものではなく、主に先進国で嗜好品として消費されるものがほとんどで、輸出用の換金作物として栽培する農業が今も続いています。現在では、現地の人々の他に、労働力として送り込まれた人や他国の企業がその農園を引き継いで経営を行っています。

プランテーション農業国と代表的作物

具体的にプランテーション農業の主な作物と、その生産地ランキングをまとめてみました。

<コーヒー>

霜が降りない温暖な気候である事と、年間1200㍉の豊富な雨量が必要となるコーヒーの栽培は、主に北緯25度から南緯25度の地域に集中しており、このことを「コーヒーベルト」と呼びます。具体的にはベトナム、コロンビア、インドネシア等の国が主な生産地です。

<カカオ>

チョコレートやココアなどの原料となるカカオは、コートジボワールが他国を大きく引き離して世界第一位です。次いでガーナ、インドネシア、ナイジェリア、エクアドルが続きます。

<アブラヤシ(パーム油)>

パーム油の原料となるアブラヤシは、世界で最も多く消費されている植物油です。身近な所だと、ポテトチップスなどのスナック菓子や乾燥めんなどに使われています。生産地はインドネシアが世界第一位で、マレーシア、タイ、ナイジェリアと続きます。インドネシアとマレーシアで生産量全体の約85%を占めています。

大量生産の裏には非人道的な労働環境が潜む可能性がある

その他にも、天然ゴムやお茶、バナナなど、熱帯地域特有の作物がプランテーション農業で生産されています。

プランテーション農業のリスク「モノカルチャー経済」とは

モノカルチャー経済とは、単一という意味の「mono」と、栽培や文化といった意味を持つ「culture」の単語を組み合わせた言葉で、プランテーション農業によって生み出される経済リスクの事を指しています。

プランテーション農業は「高収益を上げられる」「安定した買い手がいる」というメリットがありますが、1種類に絞った単一作物と同じ買い手に頼っている為、作物の価格変動で経済が大きく影響を受けてしまいます。また、買い手である先進国の有利な価格になりがちで、安い労働力のまま同じ作物を生産し続ける、という状況に陥りやすくなります。

例えば、コーヒー生産が国の収入源の大部分を占めていた場合、気候の影響などで収穫が出来なかったり、コーヒーの価格が大きく下がり、他に高く購入してくれる買い手もいなければ、国自体の収入が下がってしまいますよね。

このため、「経済が安定しない」「他の産業が発展しづらい」という状況のまま先進国になる事が難しいという大きな経済リスクを抱えています。

近年では、先進国と発展途上国の貿易を公平に行うべく、フェアトレードが行われるようになりましたが、依然として先進国有利な状況に変化はありません。

未来のプランテーション農業を考えよう

プランテーション農業は大きな問題点を抱えていますが、それによって生み出されている農作物の多くは、私たちの生活になくてはならないものばかりです。プランテーション農業によって貧困が生まれず、私たちの食も守る為に、今後どうしていくべきかぜひ一緒に考えていきましょう。

 

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